まるで引き絞った弓矢が放たれたかのような勢いだった。
トーセンレーヴの最終追い切りは栗東CWで単走。レースが2日後とあって序盤は手綱を持ったまま。抑え切れない手応えで直線に向くと、軽く促されたのを合図に全身を使った力強い脚さばきを披露する。4F53秒6-39秒6-13秒1の時計以上に、迫力が感じられる動きだった。
見届けた池江師の表情も明るい。「もう仕上がっていますからね。競馬はあさってですし半マイルをサッとやりました。(手綱を)離したらいくらでも時計が出そうなくらいでしたね」。納得の最終デモに、そう話して力強くうなずく。GI6勝の名牝・
ブエナビスタの異父弟として注目を集めた素質馬も明け5歳。「割と大事に使ってきているし飛躍の年になってくれれば」と力が入る。
鞍上には、初の短期免許を取得する英国の24歳・ビュイック。昨年はGIを8勝するなど、いまや欧州を代表するトップジョッキーに成長した。「次代のイギリス競馬界を背負うくらいの才能を持っている。(トーセン)レーヴも外国人ジョッキーが好きだから」。
デビュー以来、鞍上は全て外国人。今回で7人目となるが、新コンビに対しては不安よりも期待の方が大きい。「自分の競馬に徹するだけですね。うまくタメをつくって直線勝負にかけたい」。昨年のリーディングトレーナーが送り込む超良血馬が、重賞2勝目でマイル界の主役へと名乗りを上げる。
提供:デイリースポーツ