名手がターフを去る。安藤勝己騎手(52)=栗東・フリー=の引退会見が30日、栗東トレセンで行われた。03年に
地方競馬の笠松から
JRAに移籍。“アンカツ”の愛称で親しまれ、数多くの名馬とコンビでターフをにぎわした。今後については未定だが、2月3日の京都競馬の最終レース終了後に引退式を行う。
競馬界のパイオニアがステッキを置く。会見場で無数の
フラッシュを浴びながら安藤勝は「引退することを決めました」と神妙な表情で話した。有効期限となる2月28日を待たず、31日に騎手免許を返上する。
引退を考え出したのは昨年の春。「年のせいか体の硬さも感じるようになってきた。徐々に潮時かな、と。自分のパフォーマンスができる自信もなくなったので」。今月15〜17日までに栗東で行われた免許更新の手続きを行わなかった。「期待してくださる関係者、ファンのためにも引退した方がベストだと思った」。悩んだ末の決断だった。
76年に
地方競馬の笠松でデビュー。
オグリキャップの鞍上として知られ、95年には
ライデンリーダーで4歳牝馬特別を制した。中央移籍後は04年ダービー馬
キングカメハメハ、
ダイワメジャー、
ダイワスカーレットなど多くの名馬とコンビを組んだ。
JRA・GIは22勝、通算勝利は1111勝を数えた。
「
ビリーヴの
高松宮記念は印象深い。
キングカメハメハは強くて安心して乗れた。あと素晴らしいスピードの
ダイワスカーレット。名馬に乗せてもらって幸せな騎手生活だった」と振り返った。
調教師、調教助手になる予定はないが、今後も競馬とは向き合う。「競馬ファンに競馬の良さを伝えられる仕事ができれば」と評論などを選択肢に入れている様子だ。「やり残したことはない。GIをこれだけ勝たせてもらって、周りの人にも恵まれたと感じる。満足しています」。52歳のベテランが惜しまれつつ、37年の騎手人生に幕を閉じた。
提供:デイリースポーツ