現役最多となる1167勝を挙げる名トレーナーが下した決断は、異例となる決戦地での追い切りだった。藤沢和厩舎の
コディーノが、東京競馬場の芝コースでデモンストレーションを敢行。
目黒記念に出走する
ルルーシュ(5歳オープン)を目標にスタートして、直線で内にもぐり込み、最後は馬体を併せてフィニッシュした。
時計は3F37秒4-12秒0。上がり重点で終始、馬なりだったため、派手さこそなかったものの、緑のターフに黒鹿毛の馬体が栄える。指揮官は「時計は遅かったが外を回してのものだから。動きは良かったよ」と体調の良さを実感して満足げにうなずいた。
朝日杯FS(2着)、
皐月賞(3着)と敗れたGIの2戦は、道中の力みが一つの敗因として挙げられる。課題となる気性についても、「こちらの予想以上に落ち着いている。いいね。東京(に移動してから)の調整もここまではうまくいっている」と笑みを浮かべた。
“落ち着き”。これこそが重要なポイントだ。左回りの調教場を求めてという理由もあるが、いかに
リラックスさせてゲートインさせるかを考えた結果が東京競馬場への早めの入厩だった。「(通常通り)美浦で追ってダービーを勝っていないし、少しでもいいと思ったらほかの方法を考えなければならない。ロブロイ、クリスエス級の馬でも勝てなかったのだから」と説明する。
「長年、調教師をやらせてもらっているけど、ダービーはうまくはいかない」。計15頭が参戦して最高着順は2着だった先述の2頭。多くの名誉を手に入れてきた名トレーナーも競馬の祭典には縁がない。それだけに万全の策を敷いてここまでやってきた。「1枠(2)番は内でいい枠だし、東京の2400mで変われると思う」。好枠もゲットし、悲願達成にまた一歩近づいた。
提供:デイリースポーツ