30回目の区切りを迎えたブ
リーダーズカップ(BC)・
ワールドチャンピオンシップスは、昨年に続いて
カリフォルニア州サンタ
アニタ競馬場での開催となり、11月1・2日に行われた。
BC全14レースのうち初日には5レースが行われた。この時期の2歳の芝は、やはりヨーロッパ調教馬のレベルが高い。BCジュ
ベナイルターフ(芝8F)は、イギリスで調教されているゴドルフィンの
アウトストリップが勝って、英G2シャンペンSに続く重賞2勝目。BCジュ
ベナイルフィリーズターフ(芝8F)は、やはりイギリスから遠征のクリ
セリアムが直線大外一気を決め、英G1フィリーズマイルからG1連勝となった。
初日、もっとも注目されたのは牝馬によるBCディスタフ(ダ9F)。昨年まではBCレディーズクラシックというレース名で行われていたが、今年から以前のレース名に戻された。このレース3連覇がかかる5歳の
ロイヤルデルタ、前走でその
ロイヤルデルタを負かしている3歳の
プリンセスオブシルマー、同じく3歳のビホルダーと、
ロイヤルデルタのドバイ遠征を除けばいずれも今年は2着を外しておらず、G1タイトルもあるという強力な3頭が出走したこともあり、6頭立ての少頭数の争いとなった。
1番人気に支持された
ロイヤルデルタは2番手を追走したものの3コーナーからずるずると後退。直後でマークしていた3番人気のビホルダーが4コーナーで逃げ馬をとらえると直線では後続を寄せつけず、2着のクローズ
ハッチズに4馬身1/4差をつける圧勝となった。
ロイヤルデルタは4着。2番人気の
プリンセスオブシルマーは見せ場なく最下位6着だった。
牝馬3強対決を制したビホルダーは、昨年のBCジュ
ベナイルフィリーズに続いてBC2年連続制覇でG1・5勝目となった。
芝でのヨーロッパ勢の勢いは2日目も続いた。BCフィリー&メア・ターフ(芝10F)は、2番手を追走していた1番人気のダンクが直線で抜け出しG1初制覇。1/2馬身差の2着にロマンティカが入り、ヨーロッパ調教馬のワンツー。3着のオルテライトも2走前にフランスから移籍したばかりだった。
そして
BCターフ(芝12F)は、
愛チャンピオンSを制し、当初予定していた
凱旋門賞を回避してここを狙ったザフューグが断然人気。3コーナーでは連覇を狙うアメリカのリトルマイクが先頭に立ったが、中団から進出してきたザフューグが4コーナーで並びかけ直線先頭へ。そのまま押し切るかに思えたが、後方を追走していた6番人気のマジシャンがゴール前で一瞬にして交わし去った。勝ったマジシャンは、今年の愛2000ギニーに続いてこれがG1・2勝目。1/2馬身差でザフューグが入り、ここもヨーロッパ調教馬のワンツーとなった。
しかし
BCマイル(芝8F)では、昨年の北米
年度代表馬ワイズダンが断然人気にこたえ圧巻のレースを見せた。10頭立ての7番手あたりを追走していたが、直線外から豪快に伸びて差し切り勝ち。直線一旦は先頭に立っていたザ
アプルーヴァルには3/4馬身差だが、完勝という内容だった。ワイズダンは昨年の
BCマイルも含め昨年8月から破竹の9連勝を飾っていた。しかし前走、大雨でオールウェザーに馬場変更となったシャドウェルターフマイルでは不覚をとって2着。それでもこの
BCマイル連覇を果たし、今年ここまでの成績は7戦6勝(うちG1・4勝)2着1回。2年連続で北米
年度代表馬に選出される可能性が高い。
そしてメインの
BCクラシック(ダ10F)は、3度目の挑戦となるゲームオンデュードが断然人気となった。一昨年は2着、昨年は1番人気に支持されながら7着。しかしその後はG1・3勝を含め6戦負けなしと、期待されるのも当然だ。3頭による先行争いから3コーナーでゲームオンデュードが仕掛けて先頭に立ちかけたところ、直後でマークしていた2番人気のムッチョ
マッチョマンがこれを見て外からとらえにいった。交わされたゲームオンデュードに余力はなく直線で後退。ムッチョ
マッチョマンが単独で抜け出しそのまま押し切るかにも思えたが、ヨーロッパから遠征の
デクラレーションオブウォー、
ウィルテイクチャージが迫って3頭横一線のゴール。内で鞍上が手を挙げたムッチョ
マッチョマンがしのぎきり、外の
ウィルテイクチャージは角度によっては差し切っているようにも見えたがハナ差2着。真ん中の
デクラレーションオブウォーはアタマ差で3着だった。
ムッチョ
マッチョマンのゲイリー・
スティーヴンス騎手は、前日のBCディスタフと両日のメインを勝利。現在50歳で、今年1月にじつに約7年ぶり2度目の現役復帰を果たし、騎乗数を制限しながらも
プリークネスSを制するなど大レースで健在ぶりを示していた。
BCクラシックの表彰式で見せた涙をこらえるような表情が印象的だった。
(取材・写真:斎藤修)