一年ぶりの復活劇だった。第9回
ヴィクトリアマイルは、
ヴィルシーナが逃げ切り勝ちで連覇を果たした。ここ最近のレースぶりから、昨年の女王は11番人気という低評価だったが、再び闘争心に火がついた女王は、やはり強かった。
パドックでは、いつも通りの落ち着いた歩みを見せていたが、地下馬道で
内田博幸騎手がまたがると、久しぶりに尻っぱねをして反抗する闘志を見せていた。(取材:赤見千尋)
◆1着
ヴィルシーナ・
内田博幸騎手「なかなかレースで前みたいな気持ちが出てこなくて、先生やスタッフの方々と相談して、色んなことを試してみました。でもそれもなかなか上手く行かなかったので、ここで勝てて嬉しいです。
行く馬がいれば行かせようと思ってましたが、今の東京の馬場は止まらないので、多少無理をしてでも前につけようと思ってました。
この馬はスピードがあるので、一か八か、気持ち良く走らせることを優先して乗りました。
いいスタートを切れたし、内にもいましたけど、僕の馬の方が出ていたので行きました。馬の行きたいっていう気持ちのまま乗りました。ペースがゆっくりだったので、これなら結果が出るんじゃないかと思いました。
最後の1ハロンは、もうちょっとだから頑張ってくれ!という気持ちでした。後ろから足音が聞こえましたけど、よく頑張ってくれました。併せてからのゴール前の踏ん張りは、以前のものが出ましたね。
最近はあまり成績が出せなかったけど、もしかしたらこれを勝つために温存していたのかもしれませんね。ここを勝つことが出来て、御の字です。
これをきっかけに、レースの幅も広がりましたし、闘争心も戻ってくれたので。もともと力のある馬ですから、またこうやって活躍してくれて嬉しいです」
・
友道康夫調教師
「ようやく復活してくれて、本当に嬉しいです。今日まで丸一年勝てなくて…。体の面は、去年より一回り大きくなって、写真を撮ると去年よりも立派なんですけど、気持ちの面が、3歳の一番よかった頃のような闘争心、勝負根性がなかなか出て来なかったんです。
牝馬なので、去年までの調教はあまり無理させ過ぎないパターンでした。でも今年からは体もしっかりしたので、ハード調教に切り替えました。
馬具を工夫したり、前走は内田騎手と相談して、あえて1400の厳しい流れを経験させました。なんとしても
ヴィクトリアマイルを獲りたかったので、本当に嬉しいです。
この馬はジョッキーが乗るまではおとなしいんですけど、乗るとスイッチが入るんです。今日は、内田騎手が乗った時に、二回尻っぱねしてましたから、その姿を見て、“今日はやるな”と感じました。
ゴールに入るまでは、本当に長かったですね。
次走ですが、このレースを大目標にやって来ましたから、次のことはまだ考えてないです。
これから馬の様子を見極めて、オーナーと相談して決めます。今日はオーナーは来てなかったんですけど、先ほど電話ですごく喜んでいました」
◆2着の
メイショウマンボは、直線で最内を選択した。一瞬は突き抜けるかに見えたものの、渋太く粘った
ヴィルシーナに半馬身及ばなかった。
・
武幸四郎騎手
「去年の秋の絶好調の時なら、勝ってたと思います。そう考えたら、現状では精一杯頑張ってくれたと思います」
・
飯田祐史調教師
「ジョッキーが上手に乗ってくれました。レース前から幸四郎騎手と、内を狙うという話をしていたんですけど、予定していたレースは出来たと思います。
ただ、去年の秋の状態に戻してあげられなかったのは、僕の足りなさです。前走よりは戻ったけれど、まだまだ良くなる余地はありますね」
◆3着は、これまでス
プリント路線で結果を出してきた
ストレイトガールが突っ込んだ。
・
岩田康誠騎手「直線に入って、なかなか前が開かなかったのが残念です。開いていたら突き抜けてるんじゃないかと感じるほどでした。距離は問題なかったです」
◆4着
ホエールキャプチャ・
蛯名正義騎手
「楽に抜けて来られそうな手応えだったのに、思ったより伸びませんでした。こんなはずないんですけど…」
◆5着
キャトルフィーユ・クレイグ・ウィ
リアムズ騎手
「予定通りの3、4番手から競馬が出来ました。今日も頑張ってくれましたけど、改めて1800〜2000の方が、よりいい馬だと思いました」
◆一番人気に支持された
スマートレイアーは、直線伸びきれず8着だった。
・
武豊騎手「伸びなかったですね…。直線で狭くなった場面もありましたけど、脚があれば抜けて来られたと思います。出遅れた方がいいのかな…。う〜ん…、本当に残念です」
◆13着
フーラブライド・
酒井学騎手「外枠だったのて、ロスなくというよりも、腹をくくって流れてる中で馬の後ろに入りたいと思ってました。しっかり折り合いついて走ってましたけと、思いの他ペースが流れなかったし、今日の流れではキツイですね。この馬自身は、ジリジリ伸びてくれたんですけど」
◆16着
ウリウリ・
福永祐一騎手
「最内まで行って競馬するというのは予定通りだったんですけど、直線で手応えがなくなってしまいました。輸送もあってか、こないだより気負ってる感じもありました。まだ経験の浅い馬ですから、そういう部分が出てしまったんだと思います」