鞍上の叱咤(しった)に応え、
ハープスターが懸命に四肢を伸ばす。4角16番手から、大外を伸びる桜の女王。だが、先に抜け出した
桜花賞3着馬をかわすことはできなかった。
わずか首差。単勝1.3倍の圧倒的な人気に応えられず、川田が唇をかむ。「ある程度の脚は使っているけど、進みかけてゴールが来てしまった」。もちろん想像などしていなかった敗戦だ。想定外だったのは2角過ぎか。「広がった馬が(内に)戻ってきて、前の馬とぶつかりかけて力みだした」。それでも全体的にはリズム良く走り、直線でいつもの鬼脚を爆発させるだけだったが「走り切れなかったな、という感じ。大きな支持を得ながらそれに応えられなかった。非常に申し訳ない」と肩を落とした。
「あれで負けたら、しゃあないさ」。松田博師はサバサバとした表情で振り返る。「反応がもうひとつだった。でも、よく走っている」。上がり3Fはメンバー最速の33秒6。初の2400mにも「(負けても)強いのは一番強いんだから。距離じゃない」と敗因ではないことを強調した。
2冠達成はならなかったが、輝きを失ったわけではない。生産者のノーザンファーム・吉田勝己代表は「
凱旋門賞(10月5日・ロンシャン、芝2400m)には行く方向で進めます」と遠征プランに変更がないことを明らかにした。復権へ、そして日本馬初の戴冠へ。壮大な夢はまだ終わってはいない。
提供:デイリースポーツ