今週の栗東は、天候が不安定だった先週に比べると、夕立やゲリラ豪雨といった、地面に一気に水たまりをつくるような雨はなかった。そもそも、雨自体がほとんどなく、車のフロントガラスがかすかに濡れているかなといった程度の雨が降ったくらい。よって、ウッドチップは適度に水分が抜けて、走りやすい状態だったと想像できる。
ただし、蒸し暑さはかなり酷い。いよいよ、夏バテしてくる馬もいて、レースでも影響があると思われるくらいの馬もいる。追い切りを見ていても、それは顕著で、暑さに弱い馬の動きが重くなっており、耐えることができる馬が溌剌とした動きを見せている印象だった。
【坂路/4F51.9秒】
23日。一番時計は
テイエムヒーロー(栗東・五十嵐忠男厩舎)の4F50.2秒。過去には4F50秒を切ったこともある馬だけに、時計が出やすい馬場というわけではない。4F50秒台は他に2頭。4F51秒台も極端に多いわけではないだけに、スピードがあって、体調が良い馬は速い時計が出る馬場なのだろう。
アイビスSD(8月3日・新潟芝1000m)の出走を予定している
シャイニーホーク(栗東・橋口弘次郎厩舎)の時計が抜群。2F目に12.6秒を刻んだと思えば、3F目が12.2秒で、最後も12.8秒と12秒台のラップを継続した。4F51.2秒はもちろん速いが、テンから飛ばして、2F目に12秒台のラップを踏めるというのは、直線競馬には非常に適性の高い調教。今回が初めての直線競馬参戦だが、この追い切りができるということは、非常にレースの適性が高いと個人的には判断している。
先週の「±0.0秒」。全体的な時計の出方を見ると、同じ馬場という判断で問題ないと思われるので、23日、24日とも先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
ひと頃に比べると、時計が掛かる(とはいっても基準通り)状態だったが、今週はウッドチップも適度に乾いたのか、ウッドチップの砕き具合がほどよくなってきたのか、走りやすさを感じる馬場だった。
もちろん、能力が高い、状態が良いといった馬自身の問題はあろうが、それらの状況が揃っていれば、本当に目立つ動き、そして時計を出せる馬場。今週末の中京競馬場では、芝1600mと芝1400mの新馬戦が組まれているが、芝1600mには
アッシュゴールド(栗東・
池江泰寿厩舎)が出走するということで、すでに注目を集めている。しかし、芝1400mにも注目していただきたい馬が目白押し。
3頭併せの真ん中で最も手応えよく動いた
ラッフォルツァート(栗東・
西園正都厩舎)、5Fからの追い切りだったが、終い1F11.6秒で抜群の切れを見せた
ニューエディション(栗東・
藤原英昭厩舎)、攻め駆けする同厩舎
スピナッチを追いかけても、ゴール前では余裕で並びかけた
ハギノナトゥーラ(栗東・
高野友和厩舎)などなど。
24日は
小倉記念(8月10日・小倉芝2000m)の出走を予定している
マーティンボロ(栗東・
友道康夫厩舎)が追い切り。
デモニオに先行する形だったが、直線は楽に並ばれて、追い比べでも手応え劣勢。6F84.3〜1F12.5秒は至って平凡な時計。予定した
エプソムCを回避し、立て直しの一戦になるだけに、まだまだ本領発揮とはならないのかも知れない。
先週の馬場差は「±0.0秒」。今週は先週より時計が出ている印象があることに加えて、全体的な時計の出方も少し速い。よって今週の馬場差は、23日、24日とも『-0.2秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場を追い切りに利用した厩舎は確認できなかった。一応、馬場差は23日、24日とも『+0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場は、雨が降っていないこともあって、利用はわずか。追い切りで速い時計を出す馬もいたが、全体的には軽めに押さえる感じの追い切りが多かった。馬場差は、23日、24日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)