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急死したタイキブリザード「ファンが多く、とても賢い馬でした」

  • 2014年08月20日(水) 22時00分
 1997年の安田記念(GI)に優勝したタイキブリザード(セン)が、8月18日に鹿児島県湧水町のNPO法人ホーストラストで息を引き取った。23歳だった。

 タイキブリザードは、1991年3月12日にアメリカで生まれ、1994年2月14日に美浦の藤沢和雄厩舎からデビュー。好走はするものの、なかなかGI勝利に手が届かず、もどかしいレースも多かったが、1997年の安田記念で念願のGI制覇を果たした。またブリーダーズCクラシックに2年連続挑戦し(1996年カナダ13着、97年アメリカ6着)、注目を集めた。

 1997年の有馬記念(GI・9着)を最後にターフに別れを告げて種牡馬入り。北海道のブリーダーズ・スタリオン・ステーションやレックススタッドで種牡馬生活を送っていたが、2005年に種牡馬を引退。観光施設・日高ケンタッキーファームで余生を過ごしていたが、同ファームの閉鎖にともない、2009年1月からホーストラストで功労馬として余生を送っていた。

「ホーストラストに来た当初は、噛む、蹴るとうるさくて、私も2回噛みつかれました。年を重ねるにつれて穏やかになり、猫が背中に飛び乗っても平気なほどでした。とても賢い馬で、イベントでウインズ八代にも2回行きましたが、自分の役割をちゃんと理解していました」と、ホーストラストの小西英司マネージャーはタイキブリザードの在りし日の様子を教えてくれた。

「年を取ると背中が垂れてくるものですが、ブリザードはそのようなことはなかったですよ。骨格も筋肉もしっかりしていて、さすがGIレースを勝った馬だなと思いました」(小西マネージャー)という言葉を聞いて、頭を低く下げて迫力満点のフォームでターフを駈けていく雄大な馬体が脳裡に甦った。

 訪ねてくるファンの数も、ホーストラストの中で1番多かったと聞く。ファンにもスタッフにも愛され、ブリザードは穏やかに日々を過ごしてきた。

 8月18日も無事に1日を終えるはずだった。だが16時少し前に、放牧地にいたタイキブリザードの異変にスタッフが気づいた。

「私がブリザードの元に駆け付けた時には、既に倒れ込んでいました。異変に気づいてからわずか20分足らず…あっという間に逝ってしまいました。解剖の結果、腸はきれいだったのですが、胃が破裂していてそれが死因とのことでした」

 その死はあまりに突然だったが、広い放牧地で仲間たちと伸び伸びと暮らしたホーストラストでの5年7か月は、ブリザードにとって至福の年月だったに違いない。小西マネージャーが噛みしめるように大切に話をしてくれた生前のエピソードの1つ1つからも、それが伝わってきた。

(取材:佐々木祥恵、写真提供:ホーストラスト)

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