今週末、新潟競馬場で行われる
スプリンターズS(GI・芝1200m)に出走する
セイコーライコウ(牡7・美浦・鈴木康弘厩舎)に騎乗する
柴田善臣騎手と、管理する鈴木康弘調教師の共同記者会見が行われた。会見でのコメントは以下の通り。
柴田善臣騎手。
「やっとGIレースに出走させられるようになって、ひとまずホッとしています。2年間休養していてブランクがありましたので、また立ち直ってオープンでやれるか心配でしたが、途中から思い出したように競馬っぷりも良くなって、ようやくまたオープン入りできて、ホッとしています。最初に休み明けに福島で乗った時は、体も硬かったですし、上手に使えませんでした。変な気負いもありましたしね。今でも気負いはあるのですが、体に柔軟性が出てきて、体が使えるようになってきて、元の動ける体に戻ってきたということですね。そのあたりが、今の成績に結びついているのではないでしょうか。パワーも加わってきましたし、ずっと乗ってきた中では、今が一番充実した動きをしています。
前走の
アイビスSD(GIII・芝1000m・1着)は直線の1000mでしたが、その2走前のオープン特別でも新潟の直線競馬を走って勝っていますし、その時がイメージ通りの強い競馬でしたから、普通に走ってくれれば勝てるのではないかという気持ちで乗っていました。今回はさらに強い馬が出てきますので、楽には競馬はできないと思いますけど、この馬自身も今すごく充実していますし、ある程度は太刀打ちできるのではないかという気持ちはあります。
新潟の成績が良いのは、新潟の水が合うのかもしれないですね(笑)。直線競馬に関しては、本当に強い馬です。本当に曲がったことが嫌いな馬で(笑)、直線が合うんでしょうね(笑)。今回は曲がるんですけどね(笑)。うまくそのあたりを馬に悟られないように(笑)、両脇に馬がいてくれれば良いなという思いがあるんですよね。
この中間、乗ってはいませんが、放牧から帰ってきてからは順調に調教を消化していると聞いていますし、状態も良く気持ちも入っているということを担当者からも聞いています。GIですし、よくここまで出走できるようになったなと思いますし、関係者の皆様にお礼を言いたいですね。
今の新潟の馬場は、見た目通り内は掘れて荒れては来ています。今年は3開催続いていますが、根付きが良いのか使い始めから芝の状態は例年になく良いと感じていましたし、まだ持っています。天気次第で少しでも渋ってしまうと内は通れないですけど、乾いている芝だったら、内を通っても普通に競馬ができるという状態です。できれば内枠がほしいですね。内枠でうまく立ち回れればというイメージがあります。流れによっては外を回らなければいけないケースもあるでしょうけど、できれば内を回る競馬をしたいですね。皆スピードもありますから、前に行く馬も結構いますし、少しは後ろからの競馬になるかなと思います。馬のリズムを崩さないで運べるのだったら、位置取りは後ろになるのではないかなとも思っています。
今年の夏に充実した
セイコーライコウ、GIで良い競馬ができるよう、皆さん、応援よろしくお願い致します」
鈴木康弘調教師。
「今日(10/1)の追い切りは、1本目が43.7、2本目が39.3でした。それほど速い時計が出る馬ではないので、追い切りとしてはこれで良かったかなと思います。
競馬をそう多く使っていないですから、そういう意味では馬自体が年齢より若いかなという感じを受けています。先ほど申したように調教はさほど走る馬ではないのですが、競馬に行くととても一生懸命頑張ってくれる馬です。最終追い切りも時計的には指示通りでしたし、良い追い切りができました。
この馬は新潟の馬場がとても得意ですからね。確か6戦4勝で2着1回と新潟での成績が良いですし、12年振りに
スプリンターズSが新潟で行われるというのは、追い風に乗ってきているなと感じております。この馬は非常に素直ですから、そういう意味でも新潟の平坦の馬場が合っているのかなという感じが致します。
お陰さまで今年は非常に成績が良いのですが、7歳になって力をつけているのも事実だと思いますね。ですから非常に安定感のあるレースをしてくれたのでしょう。
3走前に1度オープン特別で1000mを使ったのですけど、新潟の直線1000mという馬場は独特の競馬になるものですから、この馬にとってどうなのかなと思っていましたが、とても楽に勝つことができました。普通1000mというと勝ってもメッキリハッキリの競馬をするというイメージを持っていたのですけど、その時はまだ余裕のある走りをしていましたので、新潟の1000mは合っているのでしょうね。それもあって
アイビスSDを目標にしたのですけど、暑くなってくる時期でしたので、夏が苦手なこの馬が暑さを乗り切ってほしいと調教してきました。レースは、中団から追い込むような競馬で、まだ少しソラを使っているところもありました。
アイビスSD後は放牧に出して、リフレッシュとともに暑さ対策をとってたのですが、残暑の時期も涼しかったものですから、帰厩してからも
セイコーライコウにとっては良かったのではないかと思います。
スプリンターズSが新潟で行われますし、この馬にとってこのような追い風は滅多にないですから、それに帆を張って走らせたいと思います。1000m直線で重賞を含めて2勝していますが、それまでに1200mでも勝っておりますので問題ないと思います。イメージ的に枠順は真ん中あたりを引いて、前、後ろに馬を置いて、包まれるような感じで道中進んでいければと思っています。僕はあの馬を長く見ておりますので、あの馬の弱点も長所も把握していますから、そのようなレース運びができれば良いなと思っていましたが、
柴田善臣君もそう考えてくれているのなら、1番良いレースができそうな気が致します。
我々はすべてのレースに勝とうと思って競馬に向かいます。その中でレースのあややアク
シデントがあって、なかなか結果が出ないことが多々あります。
セイコーライコウは、結果も出てきていますし、
スプリンターズSでもうひと踏ん張りしてくれれば、良い結果にもつながってくるかなと思います。
先代のオーナーは既に亡くなられましたが、とても馬を可愛がる方で、いくら馬を休ませても良いよと仰ってくださる方でした。ですからじっくり休ませて故障箇所を直したいとオーナーとも相談して、休養させました。少し休養期間が長すぎたかなと思ってはいるのですが、その時間があったからこそ、今順調に使えているのではないかと思います。
長く休んでレースにも使わなかった時期もありましたから、馬も精神的にもダメージは少ないと思います。あとレースを使う使わないに関わらず、7歳になると体力が落ちるのは事実だと思うんです。でもこの馬の場合は、7歳になっても体力が落ちた、あるいは落ちてくるというのは感じたことがないんですね。それがこの歳になって好成績を出しているということだと思います。
厩舎に預けてくれているオーナーの方それぞれが、僕がGIを獲るようにということで応援して下さいました。今年の春先は
アデイインザライフのオーナーが応援して下さいまして、GI行きましょうと言って下さいました。秋は
セイコーライコウがGIの
スプリンターズSを目指すことになりました。もしかすると僕にとって、これが最後のGIのチャンスかもしれないですね。ですからまず、基本的には馬が無事に走ってほしいということと、悔いのないレースを馬もしてもらいたいし、僕もしたいなと思っております。
セイコーライコウもお陰さまで、順調に夏を過ごしてGIを迎えることができました。良い状態で臨めると思います。新潟の馬場が非常に合っているのも事実だと思います。
セイコーライコウが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると信じて送り出したいと思っています」(取材・写真:佐々木祥恵)