戴冠に輝いたのは無敗馬でも、ディープ産駒でもなかった。牝馬クラシック第1弾「第75回
桜花賞・GI」(芝1600m)は12日、阪神11Rに18頭で争われ、5番人気の
レッツゴードンキ(栗東・梅田)が、鮮やかな逃走劇を演じて桜の女王の座を射止めた。積極果敢にハナを奪取すると、道中はマイペースの独り旅。直線に入っても脚色は衰えないどころか、後続を突き放す一方でみるみる差を広げて4馬身差の完勝ゴール。重賞初制覇をGIの舞台で決めた。勝ちタイムは1分36秒0。大きく離された2着は7番人気の
クルミナル、さらに3/4馬身差の3着には8番人気の
コンテッサトゥーレが入った。なお、圧倒的1番人気の
ルージュバックは、後方のまま見せ場なく9着に敗れた。
岩田は「(逃げは)とっさの判断。本当は馬の後ろから行くという気持ちが95%でしたが」と殊勲の名手は苦笑い。それでも「前走でハナに行っていなかったら、この判断はできなかった。あの一戦でスタートでグッと行くのが分かっていましたから」。負けてもただでは転ばない。会心の手綱さばきに表情は緩んだ。
JRA・GIは初勝利となった梅田師だが、昨年の
コーフィールドCで豪州GIを勝っている。厩舎に
ビッグタイトルをもたらした、その
アドマイヤラクティは豪州2戦目の
メルボルンC(22着)のレース後に突然倒れて、そのまま天に召された。「勝った瞬間、頭によぎりましたね。これで
ラクティにもいい報告ができます。あの馬の分まで、(ドンキには)頑張ってほしい」。時折、声を詰まらせながら喜びに浸った。
「牝馬2冠のチャンスがあるのはうちの馬だけですからね」とする一方で、トレーナーは「距離面での不安もあるのでオーナー、ジョッキーと相談します」と次戦は
オークス(5月24日・東京、芝2400m)ではなく、
NHKマイルC(5月10日・東京、芝1600m)になる可能性も示唆した。いずれにせよ、舞台は府中。さらに長い直線でも、その機動力を発揮して2つ目のタイトルを狙っていく。
提供:デイリースポーツ