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【武英智×藤岡佑介】「とにかく“愛”がすごい」厩舎が全力でバックアップする期待の若手騎手とは?/第3回

  • 2024年05月16日(木) 18時01分
“with佑”

▲佑介騎手と武英智調教師の対談第3回(撮影:桂伸也)


佑介騎手や池添謙一騎手、武豊騎手らとのタッグで重賞を制している武英智厩舎。実は開業以来、最も勝利数と騎乗回数が多いのは富田暁騎手です。

佑介騎手が「今の時代になかなかできることじゃない」と語るほど、育成に力を注いでいるそう。今回は富田騎手のおかげでペプチドナイルが強くなったお話や、丸坊主で現れたエピソードなど...。“愛”に溢れたバックアップとその理由についてうかがいます!

前回はこちら▼
【武英智×藤岡佑介】フェブラリーS前日に「輸送できないかも…」“不思議な馬”ペプチドナイルとの道のり/第2回

(取材・構成=不破由妃子)

ペプチドナイルを開花させた富田暁騎手の競馬


──フェブラリーSのあと、佑介さんにはこの『with佑』でたっぷりとレースを振り返っていただいたのですが、そのときに「(富田)暁がみやこS(4着)とカノープスS(7着)でびっしり先行させたことが大きい。結果云々ではなく、あの徹底した競馬を馬が乗り越えたことで、さらに強くなったというのは絶対にある。もし、僕がずっと乗っていたら、あそこまできつい競馬を馬にさせられなかったと思う」とおっしゃっていて。ああ、競馬ってそうやってつながっていくんだなと、すごく勉強になった気がしました。

佑介 英くんもそう思ったでしょ?

武英 もちろん。暁には、今のような競馬ができるナイルの姿を想像しながらレースをしてくれとずっと指示してきたので。佑介はフェブラリーSを勝って上がってきたときも、開口一番……あ、開口一番は「イエーイ!」だったから開口二番か(笑)。「暁がやってきたことが身になってます」って言ってたよな。そのときね、佑介の人間性を見た気がしたよ。GIを勝った直後に、自分の前に乗っていた人間を称えられるなんてさすがやなって。

佑介 いやいや、あの2回の競馬が馬を強くしたのは間違いないからね。

武英 フェブラリーSのあと、小倉で乗っていた暁に電話をして「悔しいか?」って聞いたら、「すごく悔しいです」と。でも、暁は暁で「僕に佑介さんの競馬ができたかと言われれば、たぶんできなかったと思うので、もっと勉強します」と言ってた。ものすごく悔しそうだったけど、ちゃんと前を向いている感じがして、「ああ、暁もジョッキーになってきたなぁ」と思ったよ。まぁ弟子みたいなものだからね。

“with佑”

▲富田騎手が過去7戦で騎乗していたペプチドナイル(撮影:山中博喜)


──佑介さんは、富田くんとどんな話を?

佑介 レース後、しばらく経ってからちゃんと話す機会があったんですけど、暁にも直接「暁がやってきた競馬が生きたし、つながったよ」という話はしました。ただ、「だからといって、それをよかったなと思うようじゃアカン」と。僕も暁の立場になることが多かったので、わかるんですよね。その背中に自分がいられなかったことを、心から悔しいと思わなければいけない。そうじゃないと、立場が逆転することはないと。暁にもそう伝えて。

武英 自分が乗って負けたこと、その馬が佑介でGIを勝ったという事実は、今後の暁にとってプラスになると思う。まぁ年末のベテルギウスSも、暁を降ろしたわけじゃないんだけどね。アメリカに武者修行に行きたいって言うからさ。で、たまたま佑介が空いていたと。

佑介 そのあたりも暁が磨いていかなければいけないところで。わずか3カ月後にGIを勝つ可能性がある馬だと感じていたら、絶対にベテルギウスSに乗ってからアメリカに行っていたはずだから。

──先ほど、「暁は弟子のようなもの」とおっしゃっていましたが、実際、富田騎手は木原厩舎の所属。どういった経緯で重用する関係に?

武英 騎手を辞めてからずっと木原厩舎で調教助手をやらせてもらっていて、そのときに厩舎実習で暁がきて。

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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