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ポテンシャル高いピサノシンボル

  • 2008年07月08日(火) 23時46分
アスカクリノオー(牡 栗東・作田誠二 父キングカメハメハ、母ビバムールフィユ)
 母ビバムールフィユは不出走馬ながらピースオブワールド(02年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI、02年ファンタジーS-GIII)の全妹にあたる良血。これに新種牡馬キングカメハメハを付けて本馬が誕生した。Special=Thatch 5×4という同血クロスを持っており注目できる。Kingmambo系はこのSpecial牝系のクロスを持つ馬が成功している。芝向きの中距離タイプだろう。ちなみにピースオブワールドの仔も今年の2歳は父がキングカメハメハ。まったく同じ血統構成の2頭がどういう競走成績を挙げるのか興味深い。

エルジャンクション(牡 栗東・中竹和也 父シンボリクリスエス、母ライヴ)
 母ライヴは1勝馬だが、2代母Bint Pashaはヨークシャーオークス(英G1)とヴェルメイユ賞(仏G1)を勝った名牝。同じBint Pashaの孫で、父がシンボリクリスエスという本馬ときわめてよく似た配合構成の馬にニシノエモーション(08年青葉賞-GII・5着)がいる。違うのは、本馬の母の父がStorm Catで、ニシノエモーションはSadler's Wellsという点。シンボリクリスエス産駒は晩成型でズブいところがあるので、母の父に仕上がり早でスピードに秀でたStorm Catが入るのは悪くない。芝・ダート兼用で1600〜2000mあたりがベスト。

ガイアディーヴァ(牝 美浦・清水英克 父アグネスタキオン、母マーベーカー)
 アグネスタキオン産駒は、コンスタントに勝ち上がる能力は高いものの、やや底力に欠けるところがある。したがって母系には重厚なスタミナ血脈を入れたい。母の父エルコンドルパサーは「Kingmambo×Sadler's Wells」という組み合わせなので、その条件に合致している。母マーベーカーの半姉に桜花賞(GI)2着、阪神3歳牝馬S(GI)3着のマヤノメイビー(父Miswaki)がいる。ポテンシャルの高さが窺える配合だ。芝向きの中距離タイプ。

ピサノシンボル(牡 美浦・藤沢和雄 父シンボリクリスエス、母シャイニンレーサー)
 母シャイニンレーサーはマーメイドS(GIII)の優勝馬で、フジキセキ(94年朝日杯3歳S-GI)の半姉にあたる良血。繁殖牝馬としてもシャイニンルビー(02年クイーンC-GIII、02年桜花賞-GI・3着、04年京成杯AH-GIII・2着)、シャイニンググラス(準OP)を産んでいるのだから優秀だ。本馬の父はシンボリクリスエス。「シンボリクリスエス×ノーザンテースト」の組み合わせからはシングライクバード(08年フラワーC-GIII・3着、08年フローラS-GII・5着)が出ている。芝の中距離タイプでポテンシャルが高そう。

ヤマニングルマン(牡 美浦・栗田博憲 父ホワイトマズル、母ヤマニンプラシード)
 母ヤマニンプラシードは未勝利馬だが、半兄に安田記念(GI)[2回]、天皇賞・秋(GI)などを勝ったヤマニンゼファー(父ニホンピロウイナー)がいる。父ホワイトマズルは自身の個性を主張するというより母系の特徴を引き出すタイプ。たとえば、母の父がMr.Prospectorのビハインドザマスクはスプリンター、母の父がサウスアトランティックのスマイルトゥモローは気難しい中距離馬、母の父がリアルシャダイのイングランディーレはステイヤー、と見事に色分けされている。本馬は母が「サクラユタカオー×Blushing Groom」という組み合わせなので芝向きの素軽い中距離タイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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