エーブダッチマン(牡 美浦・清水利章 父アフリート、母フェルメールブルー)
2代母ノースフライトは安田記念(GI)、マイルCS(GI)などを制した女傑。母フェルメールブルーはダート中距離などで3勝を挙げた。本馬の父アフリートと、2代母の父トニービンの組み合わせを持つ馬には、サイドワインダー(重賞3勝)、ビッグウルフ(重賞3勝)などがいる。このふたつの血は相性がいい。ノースフライトはミスキャスト(重賞2着)などを産んだものの、もうひとつ弾けきれなかった。孫の世代に期待をかけたい。
コスモパイレット(牡 美浦・奥平雅士 父Smarty Jones、母Confidently)
父Smarty Jonesはデビュー以来8連勝でケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)の米二冠を制し、三冠確実と言われながら、ベルモントS(G1)で2着に敗れた。本馬はその初年度産駒。母の父がStorm Catなので、仕上がりが早く、フィジカルな能力に優れているはず。その半面、自分のレースに持ち込めなかったときなどに、思わぬ脆さも見せる可能性がある。母系の奥には重厚なHyperion系の血脈が幾重にも巡らされており底力十分。一介の早熟スピード馬ではない。ダート向きのマイラーとしてはかなりの器だろう。
ジャストルーラー(牡 美浦・戸田博文 父キングカメハメハ、母フウレイカ)
母フウレイカは2勝馬だが、タイガーカフェ(02年皐月賞-GI・2着)、フサイチジャンク(06年皐月賞-GI・3着)の全兄弟にあたる良血。これに新種牡馬キングカメハメハを交配して本馬が誕生した。注目はSpecial=Lisadell 5×5という同血クロス。これはNureyev≒Yeats 4×4といってもいい。父が属するKingmambo系は、エルコンドルパサーやアルカセットをはじめ、この牝系のクロスで多数の一流馬を出している。高い潜在能力を感じさせる好配合馬。芝向きの中距離タイプだろう。
ナリタカービン(牡 栗東・飯田雄三 父ホワイトマズル、母センボンザクラ)
母センボンザクラは現役時代、マイル以下の短い距離を得意とし、準OPまで出世した。「サクラユタカオー×ノーザンテースト」という80〜90年代に流行したニックスを持ち、配合的にはしっかりした馬だった。これにホワイトマズルを掛けて誕生したのが本馬。ホワイトマズルは自身の個性を主張するというよりは母系の特徴を引き出すタイプ。本馬は母系が優れているので期待できる。1800m前後を得意とする芝馬だろう。
ヒカルグッドラック(牡 美浦・二ノ宮敬宇 父ジャングルポケット、母レディステラ)
母レディステラは現役時代、フェアリーS(GIII)を勝つなど2歳時に4勝を挙げた早熟のスピード馬。繁殖牝馬としてはこれまでに3頭の産駒を出走させているが、これといった大物は出ていない。ただ、本馬は期待できる。「ジャングルポケット×Crafty Prospector」という組み合わせはバトルバニヤン(08年新潟大賞典-GIII・6着)と同じ。父ジャングルポケットは欧州系のスタミナ血脈が強いので、Mr.Prospector系を中心とするアメリカ血脈をぶつける配合は、単純ながら悪くない。仕上がりが早そうなのでPOG向きだろう。