サンタアニタT(7月30日 サラ3歳以上 ハンデ SIII 1600m)
今年、第29回目。かつては「関東盃」の名称で行われ(80〜95年)、南関東古馬、根幹レースの一つだった。古くはテツノカチドキ、ガルダン、ジョージモナークが勝ち、レース名改称後も、アブクマポーロ、インテリパワー…など、おおむねその時代の“強豪”が制している。ただし近年は顔ぶれが大幅にスケールダウン。帝王賞、ジャパンダートダービー、交流Gの直後(谷間)らしく、上昇馬中心のレースになった。過去10年中9頭までが、ここで“重賞初制覇”という事実がある。
さておき近10年間のデータ。1番人気[4-2-0-4]、2番人気[2-3-1-4]、3番人気[2-1-1-6]。ハンデ戦ながら、小波乱、中波乱までの傾向で、とりわけ1番人気の勝率、連対率は他重賞に較べても悪くない。波乱のパターンをイメージすると、実績上位馬が、機動力、器用さを突かれて敗れるケースか。馬単最高配当は、00年、キクオブメイスン→トウケイメモリー、典型的な先行決着(15740円)。当時、新潟出身、6連勝中チェイスチェイス(単1.4倍)がスローにハマる4着だった。今ふり返ると懐かしいが、レースの傾向としては見逃せない。
所属別は、大井=7勝、2着5、船橋=2勝、2着5、川崎=1勝。出走頭数に比例した形で、大井、船橋勢がほぼ独占。昨年もショーターザトッシ(大井)→シーチャリオット(船橋)の決着だった。盛夏にもかかわらず、なぜか牝馬は相性が悪く、昨年ベルモントノーヴァが最高という[0-0-0-17]。もっとも、「関東盃」時代は、レイクルイーズ、イーグルシャトーなど女傑級が勝っており、牝馬重賞の増設でレベルが下がっている面もある。逃げた馬=1、4、2、3、6、3、7、4、2、8着。勝てないまでも善戦が多く、基本的に先行有利。直線一気の逆転は、06年ボンネビルレコード一例しかない。
◎チェレブラーレ
(張田・56.5)
○マズルブラスト
(戸崎・57.5)
▲ショーターザトッシ
(町田・56)
△サウンドサンデー
(今野・56)
△ゴッドセンド
(早田秀・54.5)
△ベルモントギルダー
(石崎隆・56)
△ベルモントノーヴァ
(石崎駿・55)
バンドマスター
(山崎・51)
チェレブラーレに重賞連破の期待をかける。前走ゴールドCは強いの一語。初コースの小回り浦和で豪快な大外一気。後続を4馬身ちぎり、終いまだまだ余裕があった。3歳時、ハイレベルのクラシックを善戦してきた底力。ただし父ブラックホークだから本質的にはマイラーで、今後進むべき道も、これではっきり固まるだろう。厳しい流れ、サバイバルに強い瞬発力。中間好追い切りを消化し、文字通りピークを迎えた。鞍上・張田Jはすでに同レースを3勝している。相性のいい舞台に自信を持って臨む。
マズルブラストはタイトル2つ、「東京記念」、「大井記念」の長距離だが、前々走「隅田川オープン=1600m」の勝ちっぷりにむしろインパクトが強かった。楽々と捲り6馬身差。元より格、実績は最上位といってよく、再び先行抜け出しも十分浮かぶ。昨年の覇者ショーターザトッシは、迫るシーチャリオットを振り切り1分38秒0だから、べつだんフロック、低レベルでもない。ごく素直に夏型マイラーと評価する。牝馬ベルモントノーヴァは、実績、能力以前に、今回のステップが感心しない。器用さを生かしてベルモントギルダー、逆にもつれる展開で、サウンドサンデー、ゴッドセンドの末脚。