以前、この原稿で「POGで期待されるような馬は、どこかしらいいところがある馬なので、馬券で穴をあけることがある」という話を書いたと思う(隔週の「ひとりごと」の方で書いたのかもしれない)。
先日、その決定版のような出来事があった。9/27(土)、札幌1Rで単勝13,260円の穴をあけた
イーサンヘモスである。
この馬、「赤本」では山口ステーブルさんのコメントがあったので産地馬体検査コーナーでは村本氏原稿として扱ったが私や浅野さんの評価も高く、2人とも△をつけている。
本当はもっと重いシルシをつけたかったのだが、「西塚厩舎だよ(←失礼)」という悪魔の囁きがあり、△までにしてしまったのだ。
しかも鞍上は私が「全部買え」とも言っていた田辺。これを取り逃したのは痛恨である。
そこで、赤本の産地馬体検査浦河・静内編から、デビュー済の馬をチェックしてみた。
キングアレキサンダ→デビュー戦6番人気で1着。単勝2100円。
フォーレイカー→デビュー戦3番人気で1着。単勝560円。
マイネルプロートス→デビュー戦7番人気で2着。複勝300円。
ストロングロビン→デビュー戦3番人気で3着。複勝400円。
他にデビュー戦で1、2番人気1着があるが、配当的妙味があったわけではないので割愛した。
こうして見ると、イーサンヘモスのようにあとから変わり身を見せるケースよりも、デビュー戦で人気ではないところをいきなり買ったほうがよいようだ。
「それよりなにより、好走例が少なすぎるだろ」という感想もあるだろうが、それには理由がある。使って勝てないというよりも、未出走の馬がやたらと多いのである。
浦河・静内編に掲載された馬の半分以上、3分の2に迫る馬たちが、9月末時点で未出走だ。
昔に比べて産地馬体検査の「とりあえず受検」が増えたという話は昔から出ているか、これほどまでとは思わなかった。
どうしても赤本では血統価値のある馬を優先してしまうが、ここは考えを改めないといけない。
村本氏はほとんどの育成牧場を取材しているので、各場から「本当に早い馬」をピックアップしてもらい、その中から須田や浅野氏が原稿を書く馬を選んでいくべきだろう。
とはいえ、血統価値のある馬に触れていないと「なにかあるのか!?」と疑心暗鬼を生むので難しいのだが……。
なんだか書こうとしていた原稿と違うところに着地してしまった感があるが、赤本のサンチバコーナーがあまり速攻ドラフトに役立っていない罪滅ぼしに、「イーサンヘモスのようにおいしい馬券になりそうな馬」を挙げておこう。
まずは「ちょい穴候補」として
ファインビーナス。すでに4着してしまったのである程度人気にはなるだろうが、ダート替わりで劇的に走る可能性がある。
「中穴候補」として
ティアップザスター。デビュー戦は2番人気で大敗。コマンダー×トニービンという血統なので、良馬場でもっと負けて人気を落としてから道悪での激走を狙いたい。
「大穴候補」として
ドゥミポワント。芝で5回負けたが、サウスヴィグラス産駒でダート短距離ならなにがあるか分からない。放牧に出てしまった(前出2頭は在厩)が、特に悪いところがないなら、斎藤誠師に直訴してみたい(笑)。
POG本なんだか馬券本なんだか、という感じだが、なんにしてもお役に立てれば幸いである。
※次回(10/17更新)は、須田鷹雄さんによる「須田さんのひとりごと」です。

筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。
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