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道営ホッカイドウ競馬開催終了

  • 2008年11月25日(火) 19時00分
 11月20日(木)、門別競馬場では「道営記念」が行なわれ、今年度の開催が終了した。ここ数年、日高の秋は比較的温暖な気候に恵まれていたので、おそらく今年も11月一杯くらいは過ごしやすいのではなかろうかと何の根拠もなく考えていたのだが、いやはや道営競馬の最終週(18日〜20日)は、前週とはガラリと天候が一変して、いきなり「真冬」の寒さに襲われることとなった。

 20日は朝から雪が強く降っており、しかも風が強く、競馬には最悪のコンディション。自宅を出る前に門別競馬場に電話を入れて予定通り競馬を開催しているかどうかを確認したほどだった。しかし、出発してみると、新冠を過ぎたあたりから徐々に雪が少なくなり、日高町に入るとほぼ積雪ゼロに近い。改めて日高の海岸線がいかに長いかを思い知らされた。幸い、競馬場界隈は雪が積もっていなかった。

 とはいえ、ほぼ真冬日のこの日は折からの強風もあって、体感温度は完全にマイナスの世界だ。毛糸帽子や手袋などで戸外の競馬観戦と撮影に支障が出ないように準備したつもりだったが、それでもじっと佇立していると、寒さが堪える。これほどの悪条件下での競馬観戦は、冬の帯広ばんえい以外にはまずなく、想定外の早い冬将軍の到来を恨めしく思った。

 前回、ここを訪れたのは10月30日だが、天候がまるで異なるため、外に出て熱心に馬を見ている人は数えるほど。大半の入場者は、そのまま狭いスタンドに入り、そこから動かずにいる。予め予想していたものの、中に入ってみると、ほとんど立錐の余地もないくらいの混雑ぶりで、とても居場所を確保できるような余裕などない。結局、また外へ出て、建物の陰などで風を凌ぐことにした。

 開催最終日とあって、入場者はいつもよりずっと多い。ファン感謝抽選会や石狩鍋の無料配布などもあり、この日の入場者数は835人。これでもう少し気温が高ければさらに数字を上乗せできたものと思われる。

 午後2時近くには、閉幕式がスタンド前のパドックにて行われ、主催者を代表して細越良一・道農政部長が「売り上げは目標にやや足りなかったが、来年度より道営競馬は新しい運営母体の下、生まれ変わってスタートするのでよろしくお願いします」と挨拶をした。

道営競馬閉幕式

 「道営記念」は最終10Rに組まれていた。パドックに14頭の出走馬が姿を現したものの、厳しい寒さのために、戸外に出てくる人の数は少ない。冬の太陽が西に大きく傾いた午後3時15分過ぎ。予定より少し遅れて「道営記念」がスタートした。距離2000m。4コーナーポケットからの発馬である。

道営記念パドック

 レースは中団待機で進んだ4番人気のコンテが最後の直線でボク(2番人気)を1/2馬身抑え優勝。鞍上は五十嵐冬樹騎手。3着に人気薄のピースオブレグルスが入ったため、三連単は108万5050円の大波乱となった。

優勝馬コンテ

 結局、終わってみると、今年度の道営ホッカイドウ競馬は、82日間の開催で総売り上げは対前年比4.4%減の113億9151万円。計画を7.1%下回る厳しい結果となった。札幌開催でスタートし、舞台を旭川に移してのナイター競馬で毎週熱戦を展開してきたが、夏から秋にかけて数字がかなり落ち込み、門別に移動してからは惨憺たる売り上げに終わった。原油価格高騰や景気低迷などの原因が取り沙汰されているが、旭川に代わり、来年度はここ門別競馬場で開催の大半を実施することがすでに決定済みである。スタンド増設とナイター設備は今後突貫工事により進められることになっているものの、この秋の門別開催における数字の落ち方が何とも気がかりだ。

引き揚げてくるコンテ

 札幌や旭川に代わって、ここ門別が主要な開催場となる来年、いったいどんな集客作戦を展開できるか。また、更なる場外発売網の整備も急務である。室蘭と釧路の場外発売施設は、コスト高による採算性悪化によりJRAウインズからの撤退が決まっており、来年度はミニ場外の新たな設置で対応することになるはず。よりきめ細かな発売網を構築するためには、道内各地にまだまだ多くのミニ場外施設が必要となるだろう。

道営記念口取り

 いずれにせよ、生産地主導型の運営体制に生まれ変わる来年度が事実上の勝負の年となることだけは間違いない。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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