先月から今月にかけて金沢、高知、荒尾を転戦して争われたレディースジョッキーズシリーズ(LJS)は高知の別府真衣騎手、6、7日に阪神で行われたワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)はフランスのメンディザバル騎手、10日に香港ハッピーヴァレー競馬場で開催されたインターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ(IJC)は地元のホワイト騎手がそれぞれ総合優勝しました。では問題。優勝した3人の共通点はなんでしょう?
そう、シリーズ中のレースでは勝てなかった、ということです。別府騎手は5、3、2、4、4、2着。メンディザバル騎手は2、10、3、2着。ホワイト騎手は全3戦すべて2着。それぞれ堅実に着を拾って(?)ポイントを積み重ね、総合優勝に結びつけたわけです。
LJSとWSJSのポイントルールはかなり似通っていましたが(4着までのポイントは同じ。1着20点、2着15点、3着13点、4着11点)、IJCは、1着12点、2着6点、3着4点、4着以下0点と、3連勝式馬券に絡むかどうかでハッキリ区切りをつけたルールになっていました。そこで、日本の2つのシリーズをIJCのルールで争ったらどうなるか、計算し直してみました。
▽参照(LJSのポイントは下記をご参照ください)
http://www.keiba.go.jp/dramatic3/ljs/point/index.html
▽参照(WSJSのポイントは下記をご参照ください)
http://www.jra.go.jp/keiba/thisweek/2008/1206_3/races.html
▽参照(IJCのポイントは下記をご参照ください)
http://www.cxhkir.com/english/hkir2008/hkir08_event_ijc_jockey4.asp
まずLJS。これは順位が大きく変動しました。1着2回3着1回の増澤由貴子騎手が28点で優勝、1着2回の岩永千明騎手が24点で2位、1着2着3着各1回の皆川麻由美騎手が22点で3位。2着2回3着1回の別府騎手は、平山真希騎手とともに4位タイで表彰台には上がれず、ということになります。今回のLJS全6戦で2勝を挙げたのに、わずか1点差で2位に終わった増澤騎手や5位に止まった岩永騎手は、IJCのルールなら悔しい思いをしなくて済んだかもしれません。
一方、WSJSではどうなるでしょう。メンディザバル騎手は2着2回3着1回で16点。これに1着1回3着1回で16点の小牧太騎手も並びます。この場合、IJCルールには「1着の回数が多い騎手を上位とする」という項目がありますから、小牧騎手が総合優勝となります。メンディザバル騎手は2位。3位は、1着1回で12点のガルシア騎手、菅原勲騎手、ホワイト騎手が分け合います。表彰台には5人が上がって大騒ぎになったでしょうね。
それじゃぁ逆に、IJCをWSJSのルールで計算し直したら…。ホワイト騎手が2着3回の45点、ルメール騎手が8、3、1着の37点となり、1位と2位はそのまま変わりません。その後には、1、6、7着のスターク騎手と、1、5、12着のヴェラスケス騎手がともに31点で続きます。IJCでは1着1回ずつの12点で両者3位でしたが、WSJSルールでも同点で両者3位となりました。今回のIJCは、なんと、WSJSのルールでやっても結果は同じだったんです。
暮れの忙しい時期にこんなヒマな計算をして何の役に立つ? っていうような話ですね。でも、よく考えてみましょう。馬券絡みの勝負とジョッキーズシリーズの結果は別モノというのなら日本のルールでいいんですが、両方をリンクさせるなら香港のルールのほうがシックリいくんじゃないでしょうか。1着になると2着の倍のポイントを貰える、とか、3着までに入らないとポイントが付かない、というルールは、勝ってなんぼ、とか、4、5着では馬券に絡まないからファンにとっては意味がない、という点が強調されていると思うんです。
日本のルールは、1つでも上の着順を目指して騎乗すべし、というもの。実際には、どの馬にも勝つチャンスがありそうなレースより、勝てそうな馬が何頭かに限られてしまうレースのほうが多いはずですから、騎手にとっては日本のルールのほうがいいのかもしれません。LJSの別府騎手のように、6つのレースすべてで“掲示板を確保する”のはなかなか大変なことで、そういう成績のジョッキーが総合優勝というのも素晴らしいと思います。IJCのルールのほうがいいんじゃないか、というのは、別府騎手の優勝にケチをつけようと思って言っているわけではありません。そのへんは誤解しないで下さいね。
でも、その別府騎手も、「来年は勝って優勝したい」と言っています。日本のポイントルールも、2着より1着、4着より3着のところでもっと差をつけてみてはいかがでしょう? 勝たなきゃダメ、馬券に絡むかどうかはファンが一番気にしているところ、それが競馬ですから。
さて、阪神JFですが、私の期待はジェルミナル。ただし、外枠(17番)が何とも心配です。ブエナビスタや、内で粘る馬を交わせない、ということも覚悟しなくちゃいけませんね。いつもの通り、私の予想は「
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