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地方競馬らしいセレモニーに

  • 2009年02月07日(土) 00時01分
 5日に行われたNARグランプリ2008表彰式。昨年1年間に地方競馬で活躍した馬と人を表彰する式典で、私は今年も司会を務めさせていただきました。

 毎年、大勢の地方競馬関係者が一堂に会して盛大に開催される表彰式ですので、司会をしながらも地方競馬の一ファンとして、大いに楽しませてもらっています。

 昨年の地方競馬年度代表馬フリオーソ、最優秀調教師賞の川島正行調教師、最優秀騎手賞の戸崎圭太騎手ほか、表彰を受けられた方々、おめでとうございます。

 ところで、かつてのNARグランプリでは、全国各地の競馬場の優秀騎手、優秀調教師、それに優秀厩務員の方々の表彰も行っていました。それこそ、北は北海道、南は四国・九州まで、その道一筋に頑張ってこられた名手、名人たちが勢揃いする式典は、地方競馬ならではの壮大さと親しみやすさがありました。

 しかし、いろいろな事情から、そういう方々を招待することはなくなり、今はいわゆる“全国トップ”の馬と人だけを表彰するものとなってしまいました。

 今年は、優秀女性騎手賞に愛知の宮下瞳騎手と高知の別府真衣騎手、ベストフェアプレイ賞に金沢の吉原寛人騎手、最優秀2歳馬にホッカイドウ競馬のアンペア、最優秀ターフ馬に同じくホッカイドウ競馬のイグゼキュティヴが選ばれ、ばんえい最優秀馬のナリタボブサップとともに“地方色”を醸し出してくれました。

 とはいえ、それ以外の賞は南関東勢が独占(特別賞の高岡秀行調教師と内田利彦騎手、ダートグレード競走特別賞のカネヒキリ、特別表彰のホスピタリティを除く)。それはそれでいいのですが、NARグランプリならではの持ち味がちょっと薄れてきてしまっているような気がします。

 そうしたら、同じ感想を持っている方がいらっしゃいました。上山競馬の専門紙「上山競馬ニュース」の編集長時代からお話しさせていただいている、全国公営競馬専門紙協会事務局長の荒井友昭さんです。

 心地よい山形弁の荒井さん、表彰式後のパーティの最中に私のところへやってきて、「もうちょっと地方競馬らしい式典はできねぇものかね?」と話しかけてきました(荒井さんのセリフの部分は、できるだけ山形弁で読んでください)。

 私=「そうですよね。せめて、各地の年度代表馬の表彰くらいはやってもいいんじゃないですか」。

 荒井さん=「そうそう、去年はサ、金沢のノーブルシーズが金沢の3歳3冠馬になってサ、古馬相手に北国王冠と中日杯も勝ったわけサ。そういう馬がヨ、金沢の年度代表馬ですぅ〜って、こういう場所で表彰受けてサ、マスコミに取り上げてもらってさ、お客さんがそんじゃどんな馬ダベって金沢へ見に行ってくれたら、それでいいじゃないのヨ!」。

 まさに、荒井さんのおっしゃるとおりです。地方競馬では、ばんえい、北海道、岩手、南関東、金沢、東海、兵庫、福山、高知、九州の10地区で、それぞれ優秀馬を選定しています。

▽参照(各地の優秀馬)
http://www.keiba.go.jp/topics/2009/0108-d.html

 NARグランプリの記念プログラムには、それらの馬のリストが載っていますが、表彰は各地の主催者任せ。果たしてどんな表彰を行っているのか、ハッキリ言ってよくわかりません。

 せっかくのNARグランプリですから、そういう馬の表彰、あるいは紹介をやって、その中から最優秀馬、地方競馬としての年度代表馬はこの馬です、っていうふうな表彰式をやったら、JRA賞では絶対できない、地方競馬らしいセレモニーになると思うんですけど。

 でも、いろいろ調べたところ、先に挙げた10地区の中には、世代ごとの年度代表馬を決めていても、“この1頭”には絞り込んでいないところがあって、NARグランプリで各地区年度代表馬の表彰をやるにはその調整が必要のようです。

 確かに、ホッカイドウ競馬では2歳馬に活躍馬が多く、年度代表馬を1頭に絞ると2歳馬ばかりが対象になりそうです。また、中央から地方へ勝ち星を稼ぎに来た馬がトントン拍子に勝利を挙げて中央に戻ってしまい、それ以上に活躍した地元の馬はいなかった、というときに、どの馬をその地区の年度代表馬に選ぶか、なんていう問題が起きる可能性もあります。年度代表馬を選ぶと言っても、なかなか一筋縄では行かないのかもしれませんね。

 NARグランプリは、来年、20回目を迎えます。景気低迷の影響をモロに受けて、改めて厳しい状況に置かれてしまった地方競馬ですが、来年に節目を迎えるこの式典が全国の地方競馬関係者に元気を与えるものになるよう、願っています。

 さて、共同通信杯は、NARグランプリ2008最優秀ターフ馬イグゼキュティヴの主戦騎手として表彰され、パーティも最後まで残ってファンサービスもしてくれた松岡騎手が乗るトーセンジョーダンから、シルクロードSはスプリングソングから馬券を買ってみます。では、また来週。

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テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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