20日(金)は静内地区のJBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッドの3か所でそれぞれ開催時間をずらしながらの種牡馬展示会が開催された。
2月中旬にもなるというのに北海道は荒れた天候の日が多く、この20日も朝から大雪に見舞われた。
午前10時より始まったJBBA静内種馬場の展示会は、戸外での展示を断念し、屋内での開催となった。
今年の新種牡馬はアルデバラン(種付け料200万円、前納)1頭のみだが、JBBA種牡馬は初年度に限ると人気が高く、昨年の新種牡馬ケイムホームは日高で最も多い175頭の牝馬に交配した。そして、2年目以降は急速に配合頭数が減少して行く傾向が近年顕著になっている。
展示会に駆けつけた生産者はおおよそ200人程度だっただろうか。目当てのアルデバランは一番最後に登場した。それを見届けてから、一斉に次の会場のアロースタッドへと移動である。雪の勢いは弱まるどころかますます強くなってきて、そのために次の会場へ向かわずに帰路につく車も目立った。
アロースタッドでは暖房用に炭火を起こして準備をしていた。人々がほぼJBBA種馬場から移動してきたのを見計らって、さっそく展示会が始められた。ただしここでは戸外での展示である。新種牡馬はスズカフェニックス、フサイチリシャール、フサイチホウオーの3頭。まずスズカフェニックスが披露され、同馬のオーナーである永井啓弐氏がハンドマイク片手に挨拶する場面もあった。
その後次々に種牡馬が登場したがさすがに戸外の展示会は辛い気象条件で、依然として降り続く雪を避けるために、途中で車に戻りかじかんだ手先をヒーターで暖めたほどだった。JBBAから見ると明らかに見学の人数は減っており、何ともめぐり合わせの悪い空模様になってしまったと言わざるを得ない。
3か所目のレックススタッドでは、さらに集まった人の数が少なくなっていた。降り続ける雪は勢いが衰えるどころかますます強くなっており、ついにここではまともに写真も撮れないくらいの悪条件となった。
最初に披露されたのは今年産駒がデビュー予定の4頭。ヒシミラクル、ザッツザプレンティ、トーセンダンス、カルストンライトオの順に登場した。また、新種牡馬はスマートカイザーとトーセンロッキーの2頭だが、もうほとんど「シルエット」しか見えないくらいの大雪で、帰宅後撮影した写真の馬の特定にも苦労したほどだ。
種牡馬展示会は、種馬場にとってはシーズン最初の一大行事である。ここで繋養種牡馬を披露し、生産者が配合を考える際の参考にしてもらおうという大切なイベントだ。空模様ひとつで集まる人数は大幅に違いが出てくるために、できることなら晴天に開催できるのが理想的だが、たまたまこういう日にぶつかることだってある。前日のブリーダーズスタリオンステーション(日高町門別)が好天に恵まれただけに、種馬場関係者はなおのこと空を見上げてため息をつく場面が多かっただろう。
3か所同時に時間差を設けて開催するスケジュールでは、単独で簡単に順延もできない。JBBAのように屋内施設でもあれば悪天候時でも対応可能だが、民間の種馬場ではそれにも限界がある。やはり戸外で予定通りに強行するより他ないのである。
それにしても、いったいどうしたことなのか、今年の2月は中旬以降になってから、度々大雪に見舞われるようになった。日高はもともと雪の少ないところで、まとまった降雪は珍しいのだが、想定外の大雪に戸惑うばかり。しかも気温が低いためになかなか融けず、「かまくら」が作れるくらいの雪山があちこちにある。今の時期の日高では珍しいことだ。
まだまだ真冬の風景の真っ只中だが、誕生して間もない幼駒が馬服を着せられて放牧されている姿をあちこちで見かけるようになった。馬運車の往来も徐々に目につくようになっており、暦の上では間違いなく多忙なシーズンに突入したことを実感させられる。