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混沌ケンタッキーダービー戦線

  • 2009年03月03日(火) 23時59分
 ケンタッキーダービーへ向けた東海岸の重要な前哨戦の1つG2フォンテンオヴユースSが、2月28日(土曜日)にフロリダ州のガルフストリームパークで行われ、人気を集めた重賞/特別勝ち馬たちを退け、1勝馬のクオリティーロード(父イルーシヴクオリティ)が4.1/4馬身差の快勝を演じた。

 フォンテンオヴユースSで1番人気に推されていたのは、ディスワンズフォーフィル(父アンチュータブル)。1月24日にガルフストリームで行われた6fのサンシャインミリオンダッシュの勝ち馬である。2番人気が、2歳時にチャーチルダウンズのG3バッシュフォードマナーSで入着経験があり、前走1月10日にガルフストリームパークの7fの一般戦を快勝していたゼアゴーズジョージョー(父ブラームス)。この他、1月30日にガルフストリームパークで行われたG2ハッチスンS勝ち馬キャプテンキャンディマンキャン(父キャンディライド)や、11月末にチャーチルダウンズで行われたG2ケンタッキージョッキークラブS勝ち馬ベートーヴェン(父スカイメサ)など、ケンタッキーダービー戦線の前売りでも上位人気に推されている馬たちが姿を見せ、ここまで行われたこの世代の重賞では、ケンタッキーダービーへ向けた最も重要な指針になると見られていたのが、フォンテンオヴユースSだった。

 この顔ぶれを相手に楽勝を演じ、ケンタッキーダービー戦線に急浮上したクオリティーロード。デビューしたのは昨年11月29日にニューヨーク州アケダクトで行われた距離6.5fのメイドンで、ここを快勝。101という高いベイヤー指数を獲得し、「ダービー戦線に乗ってくる器」とこの馬を高く評価する関係者が少なくなかった。

 ところが、2戦目となった1月10日にガルフストリームパークで行われた距離7fの一般戦で、フォンテンオヴユースSにも出ていたゼアゴーズジョージョーに、2.3/4馬身という決定的な差をつけられる2着に敗退。その評価は、「ダービー候補という器ではなく、将来は短距離路線に活路を見い出す有力馬」程度に急落したのであった。

 こうして迎えたフォンテンオヴユースS。戦前は、更に距離が1f伸びて8fの戦いとなったここでは苦しいのではないかとの見方が有力だった中で、道中は逃げた1番人気ディスワンズフォーフィルの直後につけ、直線で抜け出すと後続を引き離して圧勝。再び、ダービー戦線の主役の1頭に返り咲くことになったクオリティーロードの次走は、3月28日に同じガルフストリームパークで行われるG1フロリダダービーが予定されている。

 エドワード・エヴァンス氏の自家生産馬クオリティーロード。母コブラは、97年の全米3歳牝馬女王アジーナの1つ年下の全妹で、エヴァンス氏がキーンランド・ノヴェンバーで105万ドルの大枚をはたいて購入した期待の牝馬である。ところが、これまでコブラが産んだ子から目立った活躍馬は出ず、実はクオリティーロードも、エヴァンスは1歳時にセールで売ろうとしたのが、11万ドルでも買い手がつかずに主取りになった馬であった。12年前の繁殖市場における投資が、ここへきてようやく報われることになったエヴァンス氏であった。

 これで間違いなくダービー候補の一角に食い込むことなったクオリティーロードだが、ここが番狂わせであったこともあって、今年のダービー戦線はまだまだ混戦模様と見る関係者が多い。例えば、ケンタッキーダービー2勝の名調教師ニック・ジートは、「ここ最近傾向が変わって、キャリアの浅い馬がどんどんダービーに駒を進めるようになっているからね」と、ごく最近初勝利を挙げたばかりの自厩舎の馬にも、まだ十分チャンスは残っているとコメントしている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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