アイファースマイル(牝 栗東・福永甲 父サクラプレジデント、母ファームカレッジ)
母ファームカレッジは地方競馬で出走した。競走成績に見るべきものはないが、名牝シルの孫という良血がセールスポイント。シルは言うまでもなくマルゼンスキーの母だ。父サクラプレジデントはサンデー系で、現役時代、中山記念(GII)をレコード勝ちするなど重賞を3勝した。その母の父はマルゼンスキー。つまり本馬はシル4×3というインブリードを持っている(同時にNijinsky 4×3もある)。大胆な配合だけに三振かホームランか――というタイプかもしれないが、仮に競走馬としてイマイチだったとしても、将来、繁殖牝馬としてはおもしろい存在だと思われる。
オートクチュール(牝 栗東・加用正 父アグネスタキオン、母ファインドレス)
栃木の名門・那須野牧場の生産馬。ここはかつてナスノコトブキ(菊花賞)、ナスノカオリ(桜花賞)などを生産したことで知られている。半兄ナスノストローク(父エアジハード)は小倉大賞典(GIII)4着、半姉キッスアンドライド(父フジキセキ)は準OPまで出世した。母ファインドレスはなかなか優秀な繁殖牝馬だ。本馬の父はアグネスタキオン。芝向きのマイラーで、大仕事は望めなくとも、堅実に活躍しそうなタイプだ。
ニシノプルメリア(牝 美浦・杉浦宏昭 父Singspiel、母ニシノムーンライト)
母ニシノムーンライトは現役時代、500万下から準OPまで4連勝し、その後、クイーンS(GIII)4着、京都牝馬S(GIII)5着などの成績を残した。日本に入ったDiesis産駒のなかではスギノハヤカゼ、マルカダイシスなどと並んで最も活躍した部類に入る。本馬はその初仔。父Singspielはアサクサデンエン、ローエングリンなどの父として知られている。Sadler's Wells、Diesis、Vaguely Nobleなど、本格的な英国クラシック血統で構成されており底力十分。日本向きのスピードと器用さを備えていればおもしろい。
ハギノトラスト(牝 栗東・鮫島一歩 父ヘクタープロテクター、母サベージレディ)
父母ともに18歳時に誕生した産駒。10年前にはよく見られたような血統だが、現在では逆に新鮮ではある。母サベージレディは「ディクタス×ノーザンテースト」のニックス(サッカーボーイ、イクノディクタス、ムービースターなどが当てはまる)を持ち、父は1800m以下に強いヘクタープロテクター。芝向きのマイラーだろう。全姉ハギノスプレンダーはアネモネS(OP)を勝ち、桜花賞(GI)で5着と健闘した。ローカル戦を得意とするだろう。
ハトシェプスト(牝 美浦・大久保洋吉 父トワイニング、母メジロメンカール)
母メジロメンカールは芝中距離で3勝を挙げた。半妹(正確には4分の3妹)に名牝メジロドーベルを持つ良血で、14歳にして初めて出産したのが本馬。それ以降、仔を出していない。つまり、母にとって本馬は唯一の産駒となる。このファミリーはスピード面に難があるので、Mr.Prospector系のトワイニングを交配したのは好感が持てる。母はTourbillon系の血脈が配合構成の核となっており、その要素を、父に含まれるDjeddahによって継続している点もポイントが高い。幼駒時代に軽い骨折を経験したが、もう影響はないだろう。芝・ダート兼用のマイラー〜中距離馬。