1月30日「川崎記念」は、リージェントブラフの快勝だった。格下ミツルトップワンの逃げは1000m通過65秒0の超スロー、当然各馬団子状態で進み、リージェントは馬混みの中6~7番手に収まった。「固まった展開だったので、外を回らないように気をつけた」と吉田豊騎手。3~4コーナーから仕掛け、手応えはそうよくも見えなかったが、そこから息の長い脚を使うのが、やはりステイヤーの真骨頂だろう。一歩早めに抜け出したハギノハイグレイドをゴール寸前きっちり捕えた。
川崎記念(サラ4歳以上 定量 交流G1 2000m稍重)
〇(1)リージェントブラフ 56吉田豊 2分16秒2
△(2)ハギノハイグレイド 56武豊 頭
△(3)ゴールドプルーフ 56河端 頭
(4)ゴールドマイニング 56一ノ瀬 1/2
◎(5)プリエミネンス 54柴田善 2
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△(6)ドラールアラビアン 56的場文
▲(7)ムガムチュウ 55藤田
単340円 馬複490円 馬単1090円
リージェントブラフは、最近貴重な存在ともなった砂の長距離走者。父は地方トップサイヤであるパークリージェント、兄に平成4年帝王賞を制した(ナリタハヤブサと同着)ラシアンゴールド。いかにもという血統背景を持ち、そのレースぶりもしたたかで逞しい。昨春ダイオライト記念2400mで統一G初制覇を果たし、帝王賞、東京大賞典といずれも2着。終わってみれば今日は順番だったというしかない。おそらく大賞典がかつての3000m、2800mならもっと早くタイトルが獲れていた。勝利インタビューの吉田豊騎手は「僕の馬が一番強いと思っていた」「追えば追っただけ伸びてくれる」と終始馬を称え、会心の笑顔。チャンスを確実にモノにした満足感だろう。ただ2分16秒2の時計は(昨年レギュラーメンバー12秒9)何とも平凡。ロスのない好騎乗も含め、多分に偏差値的な強さではある。
ハギノハイグレイドは3コーナーから外目を仕掛け、ゴール前1ハロンいったん先頭に立った。最後頭差だからむろん惜敗だが、ミツアキサイレンスに屈した佐賀記念、名古屋グランプリと同じ負け方。本質的に地方ダート向きではないだろう。JRA仕様の軽い馬場がやはりベストか。前々を粘ったゴールドプルーフ、インを伸びたゴールドマイニングとも大健闘。とりわけマイニングは南関東でも重賞未勝利。突き抜けていれば大金星になっていた。逆にいえば今年の「川崎記念」は、たぶんG1のレベルに届いていない。
プリエミネンスは絶好の3番手から伸びなかった。直線妙に狭いところに入ったのは鞍上らしからぬ凡プレーだが、それより何より今日は仕上がりに問題があったのだろう。いつもイレ込むくらいの気合をみせるこの馬にしては、今日はパドックからおっとりしていた。「ここ目標」ではなく「ここ始動」だったということ。◎に推した筆者の不明、勘の悪さである。ドラールアラビアン、ムガムチュウはもう少し早めに動きたかった。今日のレベルなら、この2頭とも展開ひとつで勝機があったとイメージする。
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3歳馬情報。川崎からもう1頭クラシック候補が登場した。28日「若駒特別」を勝ったキングセイバー。デビュー戦を900m54秒0、続くオープン1400mも楽勝、この日は道中4番手から直線豪快に差し切り、無傷の3連勝を飾ってみせた。前半意外に反応が鈍くヒヤリとしたが、エンジンかかっての爆発力はケタ違い。1600m1分43秒0も古馬B級レベル、それより何よりキャリア3戦目でこういう競馬ができること自体、相当奥が深いということだろう。父キンググローリアス、母の父ラストタイクーン。ダート中距離を走らせて、まず最上の血統。500キロを少し割るくらいの理想的な馬体。鞍上は、昨年新潟県競馬(廃止)から移籍、着々とその腕を見せつつある酒井忍騎手。大物に育つ条件がそろっている。
川崎はこれでクラシック候補(牡馬)が4頭。鎌倉記念を勝ち、全日本3歳優駿2着のジェネスアリダー、ニューイヤーCを制したトキノアジュディ、同レースを1番人気で3着したエスプリシーズ。それぞれに違った個性があり、今後どう成長していくか楽しみだ。南関東4場の中でも、今のところ層の厚さでリードしている。
最終日2月1日にも馬が夢のある馬がデビューした。父ブライアンズタイム、母ジェフォリー。イシノサンデー、ロイヤルエンデバーの異父妹にあたるイシノラピドという馬。430キロ台、確かに小柄だが、筋肉がきりりと引き締まってメリハリのある、いかにもブライアンズタイム産駒らしい好馬体にみえた。スタートと直線、少し気合をつけた程度で7馬身差圧勝。1400m1分31秒6の時計もデビュー戦としては評価できる。今後どこを目標に進んで行くか。デビューが今年にズレ込みJRA認定がとれなかったことが、正直残念ではある。