祝・侍ジャパン、WBC・2連覇! いやぁ、毎試合ハラハラドキドキの連続でしたが、よくぞ勝ってくれました。いいものを見せてもらいましたね。
今回の当コラム、競馬ファンには申し訳ありませんが、しばらくWBCの話を書かせてください。テーマは、「日韓対決徹底分析」。今回のWBCは、5回戦制(先に3勝したほうが優勝)の“日韓シリーズ”に置き換えてもいいくらい、はじめから終わりまで、両国のオールスターチームが熱い戦いを繰り広げました。
そこで、日本と韓国が対戦した5試合の成績をいろいろ調べてみたんです。ところが、その結果を披露するところが他にないので、この場をお借りしてご紹介させていただこうと思います。まずは日韓のデータ比較から。
【1.初球に打撃行為をした打者率】
〜初球にスイングまたはバントをして、空振り、ファウル、安打、凡打(犠打、犠飛を含む)となった打者の総数÷打席で投手に1球以上投球させた打者の総数(=以下A)
第1戦 日本14−2韓国
日本.333 韓国.333
第2戦 韓国1−0日本
日本.333 韓国.235
第3戦 韓国4−1日本
日本.194 韓国.257
第4戦 日本6−2韓国
日本.333 韓国.114
第5戦 日本5−3韓国
日本.224 韓国.184
5戦合計
日本.282 韓国.218
【2.初球がボールとなった打者率】
〜初球がボールとなった打者の総数÷A
第1戦 日本14−2韓国
日本.405 韓国.444
第2戦 韓国1−0日本
日本.364 韓国.441
第3戦 韓国4−1日本
日本.500 韓国.486
第4戦 日本6−2韓国
日本.548 韓国.629
第5戦 日本5−3韓国
日本.592 韓国.526
5戦合計
日本.490 韓国.509
【3.初球のストライクを見逃した打者率】
〜初球のストライクを見逃した打者の総数÷A
第1戦 日本14−2韓国
日本.262 韓国.222
第2戦 韓国1−0日本
日本.303 韓国.324
第3戦 韓国4−1日本
日本.306 韓国.257
第4戦 日本6−2韓国
日本.119 韓国.257
第5戦 日本5−3韓国
日本.184 韓国.289
5戦合計
日本.228 韓国.272
【4.第1ストライクを見逃した率】
〜第1ストライク(初球のストライクを含む)を見逃した打者の総数÷A
第1戦 日本14−2韓国
日本.452 韓国.444
第2戦 韓国1−0日本
日本.424 韓国.441
第3戦 韓国4−1日本
日本.472 韓国.457
第4戦 日本6−2韓国
日本.262 韓国.486
第5戦 日本5−3韓国
日本.388 韓国.500
5戦合計
日本.396 韓国.467
【5.第1ストライクを見逃した打者の安打率】
〜第1ストライクを見逃した後に出た安打の数÷第1ストライクを見逃した打者の総数
第1戦 日本14−2韓国
日本.368 韓国.083
第2戦 韓国1−0日本
日本.357 韓国.133
第3戦 韓国4−1日本
日本.118 韓国.125
第4戦 日本6−2韓国
日本.455 韓国.118
第5戦 日本5−3韓国
日本.368 韓国.105
5戦合計
日本.325 韓国.114
【6.全5戦通算打撃成績】
チーム打率
日本.322 韓国.165
安打数
日本・57 韓国・23
第1ストライク見逃し後の安打数
日本・26 韓国・9
第1ストライク見逃し後の安打数÷安打数
日本.456 韓国.391
四死球数
日本・15 韓国・21
総得点
日本・26 韓国・12
安打数÷総得点
日本2.2 韓国1.9
(安打+四死球)数÷総得点
日本2.7 韓国3.7
では、これらのデータからどういう結論を導き出すか。ここからは私の大ざっぱな見解です。
日韓対決の流れが変わったのは第4戦。両国の決勝トーナメント進出が決まった後の“順位決定戦”だったんですが、そこに、キーポイントになったと考えられる数字が並んでいます。
まず日本側から言うと、第4戦で「1.初球に打撃行為をした打者率」と「2.初球がボールとなった打者率」がアップし、「3.初球のストライクを見逃した打者率」が半減したのが目立ちます。ストライク・ボールを見極めながらも、初球を積極的に打ちに行った、ということでしょう。さらに、「5.第1ストライクを見逃した打者の安打率」も高くなっています。第1ストライクを見逃しても、集中力を高め、気後れすることなくヒットを積み重ねられるようになったんです。
逆に韓国は、第4戦で「2.初球がボールとなった打者率」が急増した(日本の投手がボールから入ることが多くなった)ために、「1.初球に打撃行為をした打者率」が激減しました。これは当然の成り行き。しかし、同時に「4.第1ストライクを見逃した打者率」もわずかながら増えてしまったんです。
「3.初球のストライクを見逃した打者率」は第3戦と同じですから、これは、2球目以降の第1ストライクを見逃すことが若干増えた、ということ。ストライク・ボールの見極めに対してより慎重になったのかもしれません。
第4戦で現れた1〜5の数字の優劣は、2以外すべて、第5戦にもそのまま引き継がれました。第5戦で、日本の打者は、それまで以上に韓国の投手がボールから入ってくるようになったにもかかわらず、初球のストライクを打ちに行くという姿勢を見せたわけです。韓国の投手には、無言のプレッシャーになっていたでしょう。そして、第1ストライクを見逃した後でも、したたかにヒットを打っていました。あのイチローの決勝打がその象徴です。
なのにどうして、どの試合でも(とくに2戦目以降)あんなにハラハラドキドキしたのか。それは、6の安打数÷総得点に現れています。日本は2.2本のヒットで1点取っていたのに対して、韓国は1.9本で1点。日本は第1戦で14安打を放って14点を挙げコールド勝ちしていますから、それを除くと3.6本のヒットで1点という割合です。ここぞという時になかなか打てなかったのが日本。韓国のほうが、少ないヒットを確実に得点に結びつけていたんですね。でもここは、韓国投手陣のねばり強さと守りの堅さを褒めておきましょう。
一方、(安打数+四死球数)÷総得点では、日本の得点効率のほうが高くなります。もらった四死球数は日本のほうが少ないんですから、四死球を得点に結びつけるという点では日本のほうが上。韓国は日本より安打数が圧倒的に少ないので、四死球をもらってもうまく大量点が取れなかった=日本の投手陣もよく粘った、守備陣もよく踏みとどまった、と言ってもいいんです。
対戦チームの力が拮抗しているときは、紙一重の差で勝負が決まります。今回のWBCの日韓対決も3勝2敗という僅差での決着になりました。これは、日本の打者のストライク・ボールを見極める選球眼と、初球から狙っていくという積極的な姿勢、それに、第1ストライクを見逃した後でもしぶとくヒットを打つ能力、といったものの積み重ねが、わずかに韓国を上回った結果、だと思います。もちろん、そういうデータが残るように、日本の投手陣、守備陣が頑張ったことも大きな勝因だったでしょう。日本の野球のレベルって、スゴイじゃないですか?
さて、競馬の話に戻りましょう。勝負は紙一重の差で決まる、というのは競馬も同じ。実力伯仲、精鋭揃いの電撃の1200m戦ならなおさらです。高松宮記念も結果を予想するのは難しいですよ。でも、WBCの侍ジャパンを見習うなら、積極的に馬券を買いに行く、という姿勢を見せなくてはいけません。
それはいいんですが、選球眼、じゃなくて、勝ち負けできる馬を見極める“選馬眼”が問題。私の場合、けっこう“ボール球”に手を出しちゃうもので…。今回は、アポロドルチェあたりを狙ってみようと思います。かなり“際どい球”ですよね。さぁどうなりますか。予想については「矢野吉彦の競馬日記」でどうぞ。
それと、先週の当コラムにも書きましたが、29日には帯広競馬場でばんえい記念も行われます。こちらの予想は「ばんえい競馬情報局」(※注)でご覧下さい。では、また来週!
▽参照(ばんえい競馬情報局)
http://blog.oddspark.com/baneiinfo/
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