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全国競馬場のアクセス

  • 2009年04月11日(土) 00時01分
 4月。役所の仕事とは切っても切れない関係にある地方競馬では、新年度の開催がスタートしました。今月から新たに始まったことや、今までとは違うシステムに変わったことなど、競馬場によってさまざまな“チェンジ”があるはず。それらをうっかり見過ごすとタイヘンなことになる(かもしれない)ので、インターネットのホームページなどでよく確認しておきましょう。

 そんなことを考えながら、あちこちのサイトを見ていたら、荒尾競馬場が「サービス刷新! 送迎バスがタクシーに変わります!」というお知らせを載せていました。これまでJR・西鉄大牟田駅西口と競馬場を結んでいた無料送迎バスに代わって、4月11日からは無料送迎タクシーを運行するとのこと。タクシーとはいうもののダイヤが決まっていて、往路の大牟田発は10時10分の始発から計4便、復路の競馬場発は16時05分と最終レース発走時刻の25分後の計2便が運行され、1台に4名乗車ごとに出発、となっています。

 これを見て、素朴な疑問が生じました。いったい何人まで運んでくれるんでしょうか? 早速、競馬場に問い合わせてみたところ、「今までのバスの利用状況を考慮して、それぞれの便の(タクシー)確保台数を決めました。一番多いのが往路の第1便で8台。復路は第1便、第2便ともに5台ずつです。よろしくお願いします」と説明してくれました。つまり、往路の第1便が32人、復路の各便はそれぞれ20人が定員、ってことです。

 たぶん、よほどのことがない限り、この定員を上回るファンが利用することはないんでしょうね。ただし、去年秋にレディースジョッキーズシリーズの最終戦が行われたあとのバスには20人以上が乗っていたような覚えがあります。そういう時の帰りに利用する場合にはご注意下さい。ちなみに、荒尾競馬場から最寄りのJR荒尾駅までは歩いて約10分。タクシーに乗りそびれたら、JRで帰りましょう。

 でも、こういうことって、私がここに書くより、主催者がホームページに書いてくれたほうが早いと思うんですけど。荒尾の送迎タクシーの定員を心配する人なんて、メッタにいないのかな?それはさておき、有料の乗合タクシーというのは西船橋駅〜中山競馬場間などにありましたが、無料タクシーというのはこれが“全国初”かもしれません。次回、荒尾競馬場に行くときは、試しに乗ってみようと思います。

 一方、高知競馬では、3月いっぱいで無料送迎バスが廃止されてしまいました。ギリギリの経営が続く高知競馬のことですから、無料バス運行のための経費も、とうとうカットせざるをえなくなっちゃったようです。

 そう言えば、数年前に高知市内から乗った競馬場行きの無料バスは、「今どきこんな車両があったのか」と思うくらい古くて、途中の急な上り坂に差しかかったら自転車並みのノロノロ運転になり、床下から焦げ臭い煙が漂ってきたのを思い出します。競馬場からの経費支出を削られたバス会社が、他の路線には使えないような車両を回したせいだと思うんですが、乗客(私を除く全員がお年寄りの競馬ファン)はヒヤヒヤ、運転手は苦笑いでした。もうそういうこともなくなったわけです(そんなんだったら、ないほうがマシ?)。

 さてさて、ものはついで。全国各地の競馬場無料送迎バスの有無を調べてみました。以下は、その始発地点と主な経由地点の一覧です。

【JRA】
 札幌=市営地下鉄二十四軒駅・JR桑園駅
 函館=なし(JR函館駅、函館空港)
 福島=飯坂平野駐車場(福島駅、仙台駅〜競馬場間に有料臨時バスあり)
 新潟=なし(新潟駅、豊栄駅、新発田駅〜競馬場間に有料臨時バスあり)
 中山=なし(西船橋駅、京成東中山駅〜競馬場間に有料臨時バスあり)
 中京=名鉄中京競馬場前駅
 京都=なし(JR山崎駅、阪急水無瀬駅〜競馬場間に有料臨時バスあり)
 上記以外=なし

【地方競馬】
 帯広=なし(帯広駅〜競馬場間で期間限定運行の場合あり)
 札幌=JRAと同じ
 盛岡=JR盛岡駅、滝沢ニュータウン、東松園二丁目
 水沢=JR水沢駅
 浦和=JR南浦和駅
 大井=JR大井町駅、JR大森駅・京浜急行大森海岸駅(開催日及び場外発売日はJR大井町駅・JR大森駅=往復、目黒駅=復路のみ、トゥインクル開催時は錦糸町駅=往復、品川駅=復路のみを増発)
 川崎=JR川崎駅
 名古屋=名鉄神宮前駅・地下鉄東海通駅
 金沢=金沢市内・JR金沢駅、山代温泉東口、北陸鉄道鶴来駅、JR輪島駅、和倉温泉、武蔵ヶ辻、氷見魚市場、JR富山駅、JR砺波駅、JR津幡駅
 園田=阪急園田駅、JR尼崎駅
 姫路=JR姫路駅
 福山=JR福山駅、JR府中駅、JR尾道駅、鞆バスセンター、千年橋、井原バスセンター、笠岡西の浜
 佐賀=なし(福岡天神バスセンター・博多駅バスターミナル、久留米バスセンター・JR久留米駅、西鉄柳川駅〜競馬場間に「友の会バス」=有料臨時バスあり)
 上記以外=なし

 これらのアクセス手段については、JRAや各競馬場のホームページに案内が載っています。ここにはそれを書き出しました。ただし、福島競馬場の案内はちょっと不親切。仙台駅〜福島競馬場間の臨時バスダイヤが載っていないだけでなく、運行バス会社のサイト(※注)へのリンクも貼られていません。改善の余地があると思います。

 ところで、こうして一覧にしてみると、競馬場送迎バスもけっこうたくさんありますね。鉄道やバス、フェリーや飛行機などのファンの中には、全路線をくまなく乗り尽くすことを趣味にしている方がいます。どなたか今度、「競馬場送迎バス全線乗り尽くしの旅」に挑戦してみてはいかがでしょう?「廃競馬場巡礼」という本を書いた浅野靖典サン、どうですかね?

 そうそう、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの本拠地、千葉マリンスタジアムと最寄り駅を結ぶバスの車内では、監督や選手の声で案内放送を流しています。競馬場の送迎バスで騎手の声が流れてきたらおもしろいと思いますよ。どこかの競馬場でやってくれたら、きっと話題になるはずです。でも、その騎手のおかげで馬券をハズしちゃったお客さんからはヤジが飛びそうですが。

 まぁとにかく、ふだんは車を使って競馬場に行っているという方も、もし地元の競馬場に送迎バスがあったら、一度乗ってみてください。利用客が増えればエコにもつながるし、高齢のファンにとっての大事な交通手段を確保することになるかもしれません。競馬場でお酒を飲んでも大丈夫ですから(ただし、くれぐれもほどほどに)。

 最後に、桜花賞の予想を。ブエナビスタは素直に信用するとして、相手はサクラミモザとレッドディザイアに期待しています。詳しくは下記のコラムをご覧下さい。ではまた来週!

▽参照(JRバス東北)
http://www.jrbustohoku.co.jp/highway_img/fukushima2.html#keiba_d

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テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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