今月3日から、6週連続のGI開催がスタートします。まずは京都の天皇賞・春。その後は東京のGI開催が5週続きます。日本ならではの、春のGIシーズン開幕です。
最近、ブリーダーズCやドバイワールドC、ロンシャンウィークエンドなどのように、日本でもいくつかのGIを同日に集中開催してはどうか、という意見をあちこちで見聞きするようになりました。世界の“潮流”がそうなっている、日本の開催パターンはマンネリ化してきた、何か目新しくて派手なことをやって世間の注目を集めるべき、などなど、その意見の根拠は「確かにその通り」と、うなずけるものばかりです。
しかし、主催者=JRAの中では、複数のGIを同日に開催しても馬券の売り上げアップは見込めない、むしろ逆効果になってしまう、という見方が一般的のようで、数年前に実施されたジャパンC&ジャパンCダートの同日開催も1回きりで終わってしまいました。馬券売り上げの前年割れ回避が至上命題となっている今、日本での複数GI同日開催は“夢のまた夢”の話だと思います。
馬券の売り上げという点だけでなく、他にも課題はたくさんあります。例えば、地上波テレビ中継の放送枠の問題。GIが1レースだけなら、今の午後3時から4時までの1時間枠の中で、パドックから本馬場入場、レース、勝利騎手インタビュー、払戻金の発表まで、すべて伝えることができます。
ところが、GI・2レース開催となれば2時間、3レース開催となれば2時間半から3時間の放送枠は必要です。グリーンチャンネルやUHF局のリレー中継があればすべてカバーできるかもしれません。でも、複数GIの同日開催は年に1度か2度の競馬界のビッグイベントになるわけですから、プロ野球の日本シリーズ並みの全国放送があってしかるべきでしょう。
では、冷静に考えて、それだけのボリュームの競馬中継枠を組める局があるかどうか。地上波の競馬中継に携わっている私が言うのもヘンですが、それはちょっと難しいような気がします。できるとすれば民放ではないでしょうね(つまり、アノ局です)。
さらに、スポーツ新聞の競馬報道態勢も問題です。1週に1つのGIならば、連日の競馬欄見開き紙面で、「これでもか」というくらい、そのレースに関しての報道ができます。日本の競馬ファンにとっては、今やそれが当たり前。レース展望や調教解説、陣営のコメントなどを吟味しながら、ジックリとその週のクライマックスとなるGIレースの馬券検討を楽めるわけです。
これが、複数GI同日開催となった場合、どれだけの紙面をそれぞれのレースの報道に割けるのか。単純に考えれば、2面×GIレースの数だけのスペースが必要になるはず。それを、今いる記者の数でさばかなければならないとなったら、大変な仕事量になっちゃいます。
それは無理、ということになると、各レースごとの情報量は減ってしまうはず。それはそれで、余計なものがそぎ落とされて中身が充実するからいい、という人がいるかもしれませんが、そんな理想的(?)な流れになるでしょうか。
ほかにも、複数GI同日開催を実現させるためには、乗り越えなくてはならないハードルがあると思います。まぁ、テレビ中継やスポーツ新聞の問題は、関係者が一致協力して競馬をもり立てようとすれば、何とかクリアできる可能性はあります。やっぱり一番のハードルは馬券売り上げの問題でしょう。
それを乗り越える方策はなきにしもあらず。重勝式馬券の導入と合わせ技にするんです。香港のダブル(2重勝)とかトリプルトリオ(3重勝3連複)を複数GI同日開催の時に限定発売すれば、馬券売り上げのアップも期待できるのではないかと思うのですが。もちろんその馬券は、予想して買い目を決めてもいいし、コンピューターに買い目を選ばせてもいいものにします。
あとは、どのGIをセットにするか。NHKマイルCとダービーかオークスの同日開催だと、ディープスカイのような馬の出現を妨げてしまいますね。春の番組で言えば、天皇賞・春の日にマイルCSを持ってくる、ダービーと安田記念、オークスとヴィクトリアマイルを一緒にする、あるいは、皐月賞とスプリンターズS、さらに中山グランドJをトリプルヘッダーにする、なんていうのは可能でしょう。競馬場のキャパシティを考えたら東京でやるのがベストだとは思いますが。
そんな“夢のまた夢”の話はこのくらいにして、現実のGI馬券ゲットに目を向けなきゃいけません。天皇賞・春は長距離重賞の実績重視で、アサクサキングスを軸に順当な予想を組み立ててみました。詳しくは「矢野吉彦の競馬日記」をご覧下さい。では、また来週。
地方、ばんえい、さらには海外にも精通する矢野吉彦のJRA・GI予想は「
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