【2歳】
アグネスティンクル(牡 栗東・森秀行 父Giant's Causeway、母Morning Devotion)
誕生したとき母は25歳という記録的な高齢出産だが、素晴らしい良血馬なので注目したい。半姉Balanchine(父Storm Bird)は牡馬相手に愛ダービー(G1)を勝った女傑で、他に英オークス(G1)を制している。半兄Romanov(父Nureyev)はジョッキークラブS(英G2)を、半姉Red Slippers(父Nureyev)はサンチャリオットS(英G2)を勝った。父Giant's Causewayは現役時代、わずか2か月半の間にG1を5連勝して「鉄の馬」の異名を取った。種牡馬としては初年度からShamardal(仏ダービーなどG1を4勝)、Footstepsinthesand(英2000ギニー)などを送り出し、昨年は英、豪、米でG1タイトルを獲得した。日本では京王杯スプリングC(GII)を勝ったスズカコーズウェイが代表産駒。Storm Bird系なので、半姉Balanchineと血統構成が近い。芝向きの中距離タイプでダートもこなす。
ヴェラブランカ(牝 栗東・池江泰郎 父クロフネ、母アドマイヤサンデー)
半姉トールポピー(父ジャングルポケット/08年オークス-GI、07年阪神JF-GI)、半兄フサイチホウオー(父ジャングルポケット/重賞3勝)、半兄ナサニエル(父キングカメハメハ/08年全日本2歳優駿-交流GI・2着)がいる良血。「クロフネ×サンデー+ラトロワンヌ」という配合構造はフサイチリシャールと同じで、クロフネ産駒の典型的な成功パターン。牝系の質の高さは言うまでもなく、ほぼ確実に走ってくるだろうと思われる。芝向きの中距離タイプ。
エーシンリジル(牝 栗東・野元昭 父フレンチデピュティ、母エイシンルーデンス)
母エイシンルーデンスは中山牝馬S(GIII)、チューリップ賞(GIII)を勝った活躍馬。初仔のエイシンイダテン(父エルコンドルパサー)は準OPクラスに在籍中。繁殖成績も悪くない。父がフレンチデピュティに替わった本馬は芝向きのマイラーだろう。「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」の組み合わせからは、レジネッタ、サイレントプライド、アンブロワーズ、ライラプスなどの重賞勝ち馬が出ており成功している。
ユキノサイレンス(牡 栗東・領家政蔵 父ステイゴールド、母ユキノスイトピー)
母ユキノスイトピーはマイル前後を守備範囲とし、フィリーズレビュー(GII)4着などの成績を残した。本馬が初仔となる。父ステイゴールドは海外G1を勝ったサンデーサイレンス産駒の名馬だが、社台スタリオンステーションに繋養されていないため、繁殖牝馬の質はイマイチ。それでも現時点で重賞を14勝しているのだからポテンシャルは間違いなく高い。ノーザンテーストのクロスを持つステイゴールド産駒といえばドリームジャーニー(06年朝日杯フューチュリティS-GIなど重賞5勝)と同じ。配合構成が優れており、底力も感じられる。芝向きの中距離タイプ。
ラプリマステラ(牝 栗東・友道康夫 父アグネスタキオン、母ラプーマ)
アグネスタキオンはやや線が細いので、基本的にヨーロッパの重厚な血統と相性がよく、そうした血を母系に抱えたものが大物となる。母の父Lord at Warは80年代にアメリカで活躍したアルゼンチン産の名馬の1頭。アルゼンチン時代にチャンピオンマイラーに輝き、アメリカ移籍後は西海岸最大のレースであるサンタアニタH(G1)など6つの重賞を制した。ウォーエンブレムの母の父でもある。血統的にはほぼ純粋なヨーロッパ血脈で構成されており、リボーも含まれているので、アグネスタキオンとの相性はいいだろう。さらに、母系の奥にあるヘリオポリスはサンデー系とニックスの関係にあるので好感が持てる。大物の相あり。