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異色の顔触れが揃うシャーガーC

  • 2009年05月26日(火) 23時59分
 8月8日(土曜日)に英国のアスコット競馬場で行われる、騎手の地域別対抗戦「シャーガーC」に、日本から内田博幸騎手が招待された。内田騎手の参加は初めてだが、バテた馬を頑張らせる“ウチパク”の技術は、ヨーロッパの馬場でより一層効果的に発揮されるはず。勝ち星を収めてアスコットのウィナーズサークルでおはこの“宙返り”を見せれば、競馬発祥の地の関係者もマスコミもぶったまげるはずで、ぜひ好結果を期待したいと思う。

 内田騎手は「その他の地域チーム=Rest of the World Team」の一員として参加することになるが、今年のこのチームは顔ぶれが実にユニークかつフレッシュである。内田騎手を含めて、チームを構成する3騎手がいずれも初参加で、かつ、内田騎手以外の2人は、これまで代表騎手を送り込んだことのない地域を本拠地とした乗り役なのだ。

 チーム・キャプテンを務めるのが、アフメッド・アジュテビ(27歳)。今年3月のドバイワールドC開催で500万ドルレースに2勝する活躍を見せ、一躍世界に名を知られた騎手である。ドバイ生まれで、父親がらくだレースの調教師という家庭に育ち、6歳の時にらくだレースの騎手としてデビュー。15歳になるまで3000以上のレースに騎乗し200を超える勝ち星をあげ、らくだ界のスタージョッキーとして活躍した。その後、サラブレッド競馬の世界に転身し、アイルランドやオーストラリアで修業を積むかたわら、実戦での騎乗も開始。ドバイで乗り始めたのは04/05年シーズンからで、シーズンオフには南アフリカやイギリスでも騎乗。各国で経験を積むうちに蓄積された技術が一気に開花したのが今シーズンで、昨年までの4シーズンで合計18勝の騎手が、今季だけで同数の18勝をマーク。ドバイデューティフリーをグラディアトラスで、ドバイシーマクラシックをイースタンアンセムで制したことで、今季の収得賞金は2636万ディルハムに到達。賞金部門で騎手リーディングの首位に立つという、大躍進を成し遂げた。

 チームのもう一人は、インドから参戦するマレシュ・ナレドゥ(40歳)。インドでリーディングの座に就くこと12回、インドのクラシック通算53勝という、押しも押されぬインドのナンバーワン騎手である。17歳を迎えた1985年に、リーディング・トレーナーのC・A・クッタッパ厩舎所属の見習騎手としてデビュー。2年目に14勝を挙げてムンバイ地区の見習騎手チャンピオンとなるなど、早くから頭角を現した。以後はトントン拍子の出世を遂げ、第一人者の地位を手にしたナレドゥだが、実はかつて日本でも騎乗した経験を持っている。96年5月25日・26日、東京でオークスが行われた週末に中京で開催されたアジアジョッキーズ競走に、シンガポール、香港、マカオ、フィリピン、インドの5地区から騎手が招待されたのだが、この時インド代表として来日したのがナレドゥだったのだ。2鞍に騎乗していずれも着外だったが、ひょっとすると御記憶の片隅にその名を留めておいでのファンもおられるかもしれない。日本以外にも、シンガポール、マレーシア、カタール、アイルランドで騎乗経験があるから、国際経験は相応に積んでいる騎手と言えよう。

 ここ3年ほどシャーガーCの盛り上げに大きく貢献していた英国の女性ナンバーワン騎手ヘイリー・ターナーが、シーズン開幕前の落馬事故が原因で戦線離脱中で、今年は不参加が濃厚である。それだけに、異色の顔触れとなった「その他の地域チーム」には、例年以上の華々しい活躍が期待されるところである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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