先週(オークスとダービーの間)に、アメリカのシアトルとニューヨークへ競馬とメジャーリーグを見に行ってきました。新型インフルエンザが心配でしたが、向こうではマスクをしている人を全くと言っていいほど見かけず、空港や競馬場、野球場もふだん通りで、日本の大騒ぎがウソのようでした。ひとまず、無事に帰って来られてよかったです(もう“潜伏期間”は過ぎましたから)。
それはさておき、今回行ったのは、シアトル郊外のエメラルドダウンズ競馬場とニューヨークのシティフィールド(ニューヨークメッツのホームグラウンド)、それに、ニューヨークからバスで2時間ほどのいなか町にあるモンティチェロ競馬場です。
エメラルドダウンズは、1996年にオープンした比較的新しい競馬場で、4月から9月までサラブレッドのダート競馬が開催されています。2コーナーの先にマウントレーニア(富士山によく似た美しい山)を望むなかなかのロケーション。私が訪れた日はメモリアルデーという休日で、場内は家族連れなど大勢の観客で賑わっていました。
▽参照(エメラルドダウンズ競馬場)
http://www.emeralddowns.com/
スタンドは小さめながら近代的。その規模のわりには、レストランやバー、ファーストフードの売店といった飲食施設が充実しています。スタンド全体がフードコートのような感じ。どこでランチを食べるかちょっと迷いましたが、売店のホットドッグにして正解でした。レストランの料理はボリュームあり過ぎ! アメリカ人が食べきれずに“お持ち帰り”していたほどですから。
次にシティフィールド。今回のアメリカ旅行は、ここで野球を見るのが一番の目的でした。今年は、このシティフィールドとヤンキースのヤンキースタジアムが新装オープン。できたてホヤホヤの球場のどちらかには行っておこうと考えていました。
▽参照(シティフィールド競馬場)
http://newyork.mets.mlb.com/nym/ballpark/index.jsp
ところが、ヤンキースタジアムはチケット代がべらぼうに値上がりしちゃったんです。並みの試合でネット裏前列指定席がなんと900ドル(レッドソックス戦やサブウェイシリーズだと2500ドル!)、内野指定席でも300ドル以上。いくら最新の球場になったからって、それは高すぎるでしょう? (今は大幅に値下げされ、900ドルの席は375ドルになりましたが)。そこで、比較的リーズナブルなシティフィールドのほうにしたわけです。
でも、今回はせっかくなのでちょっと奮発。120ドル(相手がワシントンナショナルズ=大したことないチームなので通常価格)の“エベッツクラブ”というカテゴリーの席を取りました。これがなかなかよかったですよ。
1塁側ダッグアウト後ろの中2階席で、専用の入り口から入るとまずラウンジがあって、そこで軽い食事が取れるようになっています。メニューは、好きな野菜とドレッシングを選ぶとその場で係のオバサンが混ぜ合わせて作ってくれるサラダに、定番のホットドッグなど。さらにバーカウンターもあって、ビールなどのアルコールも揃っています(すべて有料ですが)。
それをベランダ風の観客席へ持って行って、ナマの試合を見ながら味わってもいいし、ラウンジのソファーでゆったり食事をしながら、試合はモニターテレビで観戦してもいいし。私が見に行った日は小雨が降ったりやんだりの天気。観客席に屋根はなく、ラウンジで雨宿りしながら食事ができたので、この席にしてよかったと思いました。シティフィールドの“エベッツクラブ”、オススメです。
そしてモンティチェロ競馬場。ここは、都会の喧噪とはほど遠いところにある、とてものどかなトロット競馬専門のコースです。スタンドはガランとしていてかなり寂れた雰囲気。馬券売り場の壁に、大観衆で埋め尽くされたナイター競馬開催時のスタンド風景を写した古い写真が飾られていましたが、そんな賑わいは遠い昔の話になっちゃったようです。そういうところはアメリカのあちこちにあって、競馬だけでは経営が成り立たないので、たいがいカジノを併設しています。モンティチェロも同様。ただし、ルーレットやバカラなど、ディーラーが仕切るテーブルはなく、スロットマシーン専門のカジノでした。
▽参照(モンティチェロ競馬場)
http://www.monticelloraceway.com/index.php?id=11
その一角に、バイキングスタイルのレストランがありました。約13ドルでサラダ、メイン、デザート、ソフトクリーム、ソフトドリンクなどが食べ放題、飲み放題。ここは、競馬場のスタンドとは対照的に、そこそこのお客さん(ほとんどが“お年寄り”。なにしろ平日の昼間ですから)で賑わっていました。味はなかなかのもの。コストパフォーマンスを考えたら合格点でした。
今回のコラム、競馬場や野球場の“食”の話ばかりを書いたのには理由があります。そういうところにお客さんを呼ぶには、やっぱり“食”が大事、ということを改めて感じたんです。今週は、地方競馬の“ダービーウィーク”でしたので、姫路の兵庫ダービーと名古屋の東海ダービーを観戦してきましたが、どちらの競馬場も“食”の施設は昔のまま。
それはそれでいい、という人もいるでしょう。でも、ハッキリ言えば“時代遅れ”です。シティフィールドの“エベッツクラブ”とまではいかなくても、エメラルドダウンズやモンティチェロのようにしていかなければ、ますます取り残されちゃうと思います。どの主催者も「そうしたいけど先立つものが…」という状況かもしれませんが、そこを何とかできないものでしょうか。
ちなみに、兵庫ダービーも東海ダービーも馬券が的中しました!(どうでもいい話ですか?)。東京のGI・5連発も安田記念が最後その予想は『矢野吉彦の競馬日記』で)。早いものですね。では、また来週!
地方、ばんえい、さらには海外にも精通する矢野吉彦のJRA・GI予想は「
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