梅雨の季節ということもあり、先週の競馬は2日目に福島、阪神で雨の影響を受けた形の競馬開催となりました。
どうしてもこの時期は雨によって結果が左右されることが多くなりますが、調教適性での予想に関しても雨は大敵です。
特にダート戦では調教量が重要なレースでも雨の影響により時計が速くなりやすいので、結局は調教量よりも脚抜きの良い馬場への適性が高いかどうかで結果が決まってしまいます。
その傾向が出たのが先週の福島ダート1700m。
1日目に行われた「良馬場」の
安達太良Sはスパルタ併用の
ポートラヴ(7番人気)が逃げ切り勝ち。これは展開に恵まれたのではなく、一杯に本数多く、そしてトラックと坂路を併用した豊富な調教量を武器に逃げ切ったと思います。
それを証拠にこのレースでポートラヴの2番手につけたスナークユーチャン(5番人気)は1.1秒差の9着まで後退しています。その理由は標準少めトラックという調教量少ない調教タイプだったことにあると思います。
また同じ1日目の
牝馬限定未勝利戦では坂路で本数多く調教された乗込坂路の
トワインブルームが6番人気で外からの差し切りを決めています。
この結果を見ると福島ダート1700mは逃げても差しても調教本数が重要な条件ということで間違いありません。しかし雨の影響を受けて「重馬場」となった福島ダート1700mでは、その調教傾向に変化がありました。
その典型が
2日目2Rに行われた3歳未勝利戦。このレースで最も調教適性が高かったのはスパルタトラックの
モリノマーケット。過去4走は全く馬券に縁遠い結果に終わっていますが、調教適性があるこのレースなら見せ場は十分に作れると思いました。
やはり前半は置かれ気味な位置取りでしたが、道中で徐々に前との差を詰めていき、直線では十分勝負圏内に。ただ雨馬場で直線に向いてからの差は一向に詰まりませんでした。これがもし「良馬場」なら。そう思わせる一戦でした。
同じく「重馬場」で行われた
横手特別も馬ナリ平均坂路の
トシナギサの逃げ切り楽勝。雨で脚抜きが良くなると、豊富な調教量は適性を発揮できなくなってしまいます。
今週末も雨の影響を考慮しながらの予想になりますが、良馬場で行われるダート1700mであれば「スパルタ」や「標準多め」といった調教量豊富なタイプを狙っていきたいと思います。
芝に関して、1200mで気になったのは、
1日目さくらんぼ特別で2着3着した「P追い」です。特に
トミノドリームは13番人気だったにも関わらず、逃げ残っての3着。馬場が荒れると好走しにくいP追いだけに、今週末までが賞味期限の調教傾向でしょう。
続いて阪神。
今週は芝2200mで宝塚記念が行われますが、こちらは
競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」で解説しますが、ここでは先週の開催で特に調教傾向が目立ったダート戦を振り返っておきましょう。
1200m、1400m、1800m、どの距離においても好走したのが坂路で本数多くの「標準多め坂路」です。
特に雨の影響を受けた
2日目7Rの3歳上500万下のダート1400mで
キアーロが差して2着の走りを見せたことは、いかに阪神ダートが坂路で本数多く調教された馬に有利な馬場であるかを象徴しています。
多少の雨は気にする必要がありませんし、良馬場ならより一層パワーの必要なダートになると思いますから、坂路で本数多く調教されたアドバンテージは活きてくるでしょう。
中間にトラックを併用している標準多め併用や標準多め坂路主体も含めた「標準多め系統」を押さえていれば、阪神ダートの予想は楽になります。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
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