20日(土)は福島で「ウイニング競馬」の中継。21日(日)は大井でばんえい競馬「黒ユリ賞」の予想トークショーと場立ち予想会。22日(月)は帯広に飛んで久々のばんえい競馬ナマ観戦。23日(火)は門別でグランシャリオナイター初観戦。24日(水)は大井に舞い戻って帝王賞観戦。私にとって、この程度のスケジュールは「なんということはない」んですが、あらためて並べてみると「よくやるよ」っていう感じですね。でもせっかくなのでこれをネタにしないわけにはいきません。今回は門別グランシャリオナイターについての話です。
ホッカイドウ競馬が経営改善への“最後の(?)切り札”として導入した門別ナイター開催。そのスタートにあわせて、スタンドの増築やパドックの移設などが行われました(詳しくは田中哲実サンの『
生産地だより・グランシャリオナイター、開幕』をご覧ください)。
これまでは、トレセンのコース脇に小さなスタンドを建て、取りあえず競馬場のようにした、といった程度でしたが、けっこう大がかりな改修を施したおかげで、やっと競馬場らしくなったようです。
とくに、従来のスタンドのとなり(4コーナー寄り)に新しくできたスタンド「ポラリス☆ドーム」がいいですね。ヨーロッパの田舎の競馬場に新しくスタンドを作ったらこんなものになるかな、と思いました。レースやオッズを放映する大型ビジョンも備わっていますから、競馬開催日以外にも、ここで何かイベントを開催できそうです。
ドームの裏手に移設されたパドックもいい感じでした。馬側の柵と観客側の柵との間が1mあるかないか。つまり、それだけファンに近いところを馬が周回しています。手を伸ばせば触れてしまうのでは、と思うくらいです。関係者の方の話では、「あまりにも近すぎて、馬が暴れるのが心配」とのこと。ホッカイドウ競馬ではキャリアの少ない2歳馬のレースが数多く組まれていますので、そういう心配もごもっともですが、今のところ大きなトラブルは起きていません。馬産地の競馬場だけあって、ファンも馬のことをよく知っていて、やっていいことといけないことをわきまえているからなのでしょうか。
そう言えば、スタンドには若い人の姿を多く見かけました。みんな楽しそうにナイター競馬を楽しんでいます。酔っぱらってグダグダになっていたり、レース中にやたらと大声を張り上げたりする人もいませんし、ハズレ馬券をところ構わず投げ捨てる人も皆無。ファンのマナーのよさは、門別が日本一、といっていいかもしれません。
ナイター照明の下でのレースは、明るくて見やすかったですね。田中さんのコラムにもあるとおり、周辺にネオンやビルの明かりは全くありません。周りが闇に包まれるなか、コースだけが明るく浮かび上がって見えます。去年までナイターを開催していた旭川より門別のほうが、スタンドとコースが接近していて、明るさを増したような気もします。
ただ、ナイターになる前に、少々厄介な時間帯があります。日が西に傾くと、3〜4コーナーが完全に逆光となって、勝負服や帽子の色を判別するのが難しくなるんです。場内実況アナウンサーが苦戦を強いられるのはもちろんのこと、テレビのカメラマンもそのあたりの“絵づくり”にはかなり苦労しているようです。
テレビを通して観戦しているファンも、逆光の4コーナーはほとんどモノクロに近い映像になるので、どれがどの馬だかわからなくなっちゃうはず。この問題を解消するには、3〜4コーナーの向こう側に西日よけのフェンスを作るしかないでしょうね(どれだけの規模のものを作ればいいかはわかりませんが)。
長い時間、競馬場に滞留する人にとっては、競馬場での“食”も気になるところでしょう。これも、新スタンドの増築などに伴い、今までよりバラエティが出てきました。ポラリス☆ドームに新規開店した売店には、牛丼やビビンバ丼、スープ餃子なんていうメニューがありましたし、パドック横にもログハウス風の売店ができて、昆布じめ鮭寿司や笹巻き鰻寿司などを売っていました。今まで、立ち食いそば・うどんとカレーライスくらいしかなかったことを考えると、大幅な改善と言えます。
とにかく、従来に比べると、格段に競馬場らしくなった門別。この夏、北海道の牧場巡りを計画している方は、ぜひグランシャリオナイターの観戦をプランに組み込んで、都会では味わえない門別ならではの雰囲気を味わってみてください(もちろん、ばんえい競馬のナイターも、よろしくお願いします!)。
とはいうものの、ホッカイドウ競馬にとっては、門別への来場者を増やすことより、場外での馬券売り上げを増やすことのほうが“生き残り”につながるわけですよね。門別競馬場の施設や雰囲気がよくなったからといって、安心してはいられない、というのが本音でしょう。せっかくの設備投資が無駄にならないようにするためには、不断の経営努力が必要のようです。
さて、28日は宝塚記念。ばんえい競馬では古馬の重賞・旭川記念も行われます。いつものように、宝塚記念の予想は「矢野吉彦の競馬日記」、旭川記念の予想は「ばんえい競馬情報局」で披露していますので、そちらもご覧ください。では、また来週。
▽参照(ばんえい競馬情報局)
http://blog.oddspark.com/baneiinfo/
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