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梅雨の時期こそ地方競馬!

  • 2009年07月04日(土) 10時00分
 先週の宝塚記念。「ディープスカイは強そうだが、これを負かすとすればサクラメガワンダーかドリームジャーニー。でも、ディープスカイは2着までには来るだろう」と予想しました。結果はみなさんご存知のとおり、その予想をうまいことハズしての決着でした。こういうレースが今まで何回、いや何百回あったか、数え上げたらキリがありません。競馬の神様は、私がもう一人(?)の“神”にならないよう、私の予想を見透かした上でレースを仕組んでいるんです(だから私は人間でいられるわけですが…)!

 それはさておき、このところ、梅雨時らしい天気が続いていますね。梅雨に入ってもちっとも雨が降らない、なんていう年もありますが、今年はどうやら“カラ梅雨”ではなさそうです。こういう時期は、当然ながら重、または不良馬場でのレースが多くなります。梅雨入り前に行われた不良の日本ダービーは、その“前触れ”だったのかもしれません。

 毎週末にしかレースのないJRAの場合、とくに芝のレースでは、デビュー以来今まで重・不良馬場を走ったことがない、という馬がけっこういます。なので、ひとたび重・不良馬場になってしまうと、レースを予想するのは至難の業。どの馬が重馬場得意で、どの馬はからっきしダメなのか、過去の実績では判断できないからです。

 よく、「跳びのきれいな馬は重馬場苦手」とか、「爪の立っている馬は重をこなせる」とか言いますが、よほどの眼力がないと、ひと目でそれを見極めるのは難しいでしょう。そういう時は、少しでも重・不良馬場で好走した経験を持つ馬を頼りにするしかありません。速い脚は使えなくなりますから、切れ味鋭い馬よりも、前で粘り込める馬を探す、という作戦もありますよね。

 一方、ダート競馬の場合は、芝に比べればラクに予想できます。湿った馬場のほうがタイムが出やすい、ってことで、とにかく速そうな馬をタイム比較で見つければ、そこそこ見当がつけられるわけですから。

 とくに地方競馬の古馬のレースになると、もう何十回もレースに出ている、という馬が多く、それぞれ、重・不良馬場の経験も豊富です。そういう馬場でも好成績を挙げている馬かどうかは、新聞の「重馬場実績」を見れば一目瞭然。その数字と持ちタイムをもとに予想すると、けっこういい穴馬を見つけられたり、人気馬を疑ってかかったりすることができます。

 実は私、自慢するわけではありませんが、地方競馬は、乾き切った良馬場のレースより、重・不良馬場のレースのほうがよく当たります(それって、自慢だろ!)。重馬場で走りそうな馬を見つけ出すのが好き、ということもあるでしょうね。

 地方の馬は、月1回とか月2回といったペースでレースに出てきます。しかも組み合わせは実力の接近した馬同士。ほんのちょっとした展開のアヤで、着順はすぐに入れ替わるようなメンバー構成です。

 馬場状態は、レースを左右する重要な要素。乾いて力のいる馬場が得意、という馬が不良馬場でのレースに出走する場合、「ここで無理して勝たなくても、次の良馬場のレースで勝てばいい」となるのではないか。逆に、湿った馬場は得意なものの、このところ良馬場でのレースばかりで凡走が続いていた馬に、ようやく重の舞台が巡ってきたら、「よし、きょうは一丁やってやるか!」となるはず。そんなことを考えながら予想すると、けっこういい線行くんですよ。

 それと、競馬は野外での興行ですが、よほどの豪雨でない限り、雨天中止にはなりません。観光や、屋根のない球場での野球観戦に雨、というのは、当初の予定を狂わせてしまうものですが、競馬に雨はほとんど影響なし。むしろ、雨でやることがなくなっちゃった時に、競馬は最適のヒマつぶしになります。

 梅雨のこの時期は、雨だからこそ地方競馬、と言っても過言ではないと思います。内馬場や芝生のあるところで寝っ転がったり、青空や星空の下でビールを飲んだりしながらの競馬観戦もいいですが、雨の日は逆にレース予想に集中するしかないとも言えますから。

 ただし、ばんえい競馬に限って言えば、雨続きの天気はよくないですね。今年は雨で馬場が冠水して開催が中止になる、なんていう前代未聞の出来事がありました。5月末から6月中頃にかけては、週末になると雨にたたられ、レースはスピード決着の連続。パワーを競うばんえい競馬らしくないレースばかりで、ファンの客足にも影響を与えてしまったようです。

 夏の“ばん馬”は、乾いた馬場での力勝負にならなきゃいけないはず。先週あたりから、ようやく天候も回復してきたので、これからに期待しましょう。

 取りあえず、私の場合、競馬の“神”にはなれなくても、重馬場の“鬼”くらいにはなれそうな気がしてるんですけどねぇ。みなさんは良馬場、重馬場、どちらの競馬が得意ですか? 得手不得手があっても、この時期は重の競馬を楽しみましょう。歌の文句じゃありませんが、「雨、雨降れ降れ、もっと降れ。私のイイ馬連れてこい!」、くらいの覚悟でね。では、また来週。

地方、ばんえい、さらには海外にも精通する矢野吉彦のJRA・GI予想は「矢野吉彦の競馬日記」へ

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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