先週の当コラムの冒頭に、「梅雨も明けて」なんて書いちゃいましたが、何かどうも変ですね。今のところ(23日現在)、気象庁が「梅雨明けしたと見られる」と発表したのは、九州南部から沖縄地方と、関東・甲信地方だけ。しかも、関東・甲信地方では、14日の“梅雨明け宣言”以後も、ぐずついた天気が続いています。九州南部〜沖縄地方以外の地域は、まだ梅雨真っただ中なのではありませんか? 気象庁も意地を張っていないで、「関東・甲信地方はまだ梅雨明けしていません」と言い直したほうがいいと思うんですけど…。
それはさておき、取りあえず夏休みの期間には入りました。ただしこれは、私たちの年代で東京の公立小中学校に通っていた者にとっての古い常識。7月下旬から8月末日までが夏休み、というのがごく当たり前でしたからね。ところが今は、9月を待たずに夏休みを終えてしまう学校も増え、事は単純ではなくなってきているようです。
その8月末日まで、JR全線の普通・快速列車(普通車自由席)が乗り放題になるフリーパス・「青春18きっぷ」(5回分がワンセットで1万1500円)が発売されています。私も、このきっぷを使って「京都鴨川納涼床夕食付き・夏の甲子園高校野球観戦ツアー」や、「関東周辺日帰り温泉ツアー」などに出かけたことがあります。そこで今回は、東京を発着地とする「青春18きっぷ利用・新潟競馬と温泉巡りツアー」のモデルプランをご案内しましょう。
基本的パターンは木曜日出発、月曜日帰りの4泊5日です。原則として、宿泊先のホテルには夕方に到着し、一息ついてから夕食。翌朝も宿で朝食を食べてから出発します。なにしろ普通または快速列車しか使えない旅なので、移動はけっこうハード。ホテルではゆっくり休みたいですからね。それでは、以下に旅程を列記します。
【第1日・木曜日】
東京8時31分(新宿8時46分)発、中央線快速大月行きで出発。10時23分大月着。10時40分発甲府行きに乗換。進行方向左側の席に座ると、勝沼あたりで甲府盆地を眺められます。11時37分甲府着。11時49分発松本行きに乗換。途中、小淵沢で駅弁購入。
小淵沢駅には、「高原野菜とカツの弁当」や「甲州ワインで育った牛と豚の弁当」など、ユニークで美味しい駅弁が揃っています。これを購入するわけですが、停車時間が1分しかないのでホームに降りて買うのは無理。あらかじめ駅弁屋さんに連絡して予約しておくと、電車のドアのところで待っていてくれます。支払いを手早く済ませるために、お釣りのないように代金を用意しましょう。
ちょっと忙しいですが、小淵沢から上諏訪までの27分間に弁当を食べ、12時56分上諏訪着。ここで途中下車して、駅から徒歩5分のところにある「片倉館」という日帰り温泉へ。昭和初期、絹の貿易で財をなした片倉財閥の当主が建てた温泉保養施設で、浴槽の底に石を敷き詰めた「千人風呂」が有名です。昼食を食べてすぐなので、少し休んでからノンビリ入浴します。
上諏訪駅に戻り、15時14分発長野行きに乗車。17時47分長野着。この電車に乗るときは、進行方向右側の席に座ってください。途中、「日本三大車窓」に数えられる姨捨(おばすて)駅付近の景色(善光寺平や戸隠、妙高などの山々)が眺められるからです。晴れていればこれは絶景。鉄道ファンにはたまらないスイッチバックも存分に楽しめます。
で、この日は長野泊まりです。
【第2日・金曜日】
長野10時18分発の飯山線十日町行きに乗車。朝がゆっくりなので、早起きして善光寺さんにお参りする時間もあります。これはオプションで。11時19分、戸狩野沢温泉着。駅前から11時25分に出るバスで11時40分野沢温泉着。ここで、名物の外湯巡りです。お湯がかなり熱いので覚悟してください。昼食は温泉街の食堂で取ります。野沢温泉14時45分発のバスで15時00分戸狩野沢温泉駅着。飯山線の15時10分発長野行きに乗り、15時55分豊野着。16時26分発直江津行きに乗換。17時46分直江津着。この日は直江津に宿を取ります。
【第3日・土曜日】
直江津9時08分長岡行きに乗車。10時36分長岡着。10時38分発吉田行きに乗換。11時53分新潟着。新潟駅南口12時20分発の競馬場行き直行バスに間に合います。いざ競馬場へ。土曜日午後の新潟競馬をお楽しみください。帰りもバスで新潟へ。この日から新潟市内に2泊します。
【第4日・日曜日】
バスで競馬場に直行して、日曜日の競馬をタップリ楽しみましょう。
ただし、「青春18きっぷ」は5回分使えますから、競馬の後はひと風呂浴びに行きます。オススメは、越後線岩室駅からタクシーで約10分の「だいろの湯」。高濃度の硫黄泉がかけ流しされている露天風大浴場が名物です。競馬場発17時ちょうど、または17時20分のバスで新潟駅に戻り、18時17分発の吉田行きで19時07分岩室着。夜10時まで営業、食事処もありますから夕食も済ませちゃいます。22時13分岩室発の新潟行きに乗れば、22時54分新潟着。あとはホテルでぐっすりです。
【第5日・月曜日】
新潟8時41分発の信越線長岡行きに乗車。9時58分長岡着。10時31分長岡発、上越線水上行きに乗換。11時49分越後湯沢着。ここで途中下車して昼食。さらに、駅付近のホテルか旅館の立ち寄り湯に入浴、長旅の疲れとアカを一気に洗い流しましょう。
駅に戻り、15時05分発の水上行きに乗ります。できれば進行方向右側の席に座ってください。土合駅と湯桧曽駅の間にあるループ線の途中で、これから通る線路を山の上から眺められるポイントがあります。ほんの一瞬ですが、お見逃しなく。
15時43分水上着。15時48分発高崎行きに乗換。16時51分高崎着。夕食用に名物の「だるま弁当」を買い込んだら、17時13分発湘南新宿ライン快速国府津行きか17時30分発高崎線通勤快速上野行きに乗車。前者だと19時06分新宿着、後者だと19時04分上野着です。みなさんどうもお疲れさまでした。
いかがですか? これだけJRに乗っても、料金は「青春18きっぷ」の1万1500円だけ。土日の前後に3日の休みを取れば実行できます。ぜひお試しください!
今度は、「青春18きっぷ」を使って東京から4泊5日で小倉競馬を見に行くプランを考えようと思っています。「それより馬券を当てることを考えろ」ですって? ウーン、それはそうかもしれませんね。では、また来週!
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