先週の当コラムでは「馬場が乾いてこその調教適性」と銘打ったわけですが、真逆ともいえる集中豪雨に見舞われた小倉競馬場。
また開催中の雨は少なかったものの、金曜までの雨で札幌、新潟ともに乾いた馬場で競馬が行われたとは言い難い結果になりました。
新潟ダート1800mは良馬場なら標準多め坂路と記していましたが、3日目に「重」で行われた三国特別は標準多め坂路主体の
ホワイトショウフクが7番人気5着、4日目に「稍重」で行われた麒麟山特別は標準多め併用の
クリストフォルスが5番人気2着だった結果から、やはり馬場が乾けば「標準多め」に適性が高い馬場になると言えるでしょう。
小倉ダート1700m、水が浮く不良馬場のダートでは4日目KBC杯では標準少めトラックの
マルブツリードが勝ちましたが、それ以外のダート1700mでは「重」だった3日目天草特別で、標準多め坂路の
マイエンブレムが3番人気1着など雨馬場でも調教量が必要となりました。
その典型だったのが4日目12Rの500万下。このレースは予想を提供させていただいている馬券総合倶楽部で取り上げましたが、その内容を抜粋してみます。
「◎キングバンブー(1着)
△フラッグラッシュ(3着)
×ナムラブレット
注インバルコ(2着)
休養明けでも一杯平均坂路と標準の仕上がりは見せていた前走のキングバンブー。ただ未勝利勝ち時にはスパルタ併用で仕上げていただけに、調教的にはひと叩きで良化する気配はありました。
そして今回は理想のスパルタ併用に仕上げての出走。当時と同じダート1700mという条件も歓迎できます 」
※馬券総合倶楽部から抜粋
実はフラッグラッシュもスパルタ併用という調教タイプだったので、上位を占めたのは調教量が最高に多い馬だったわけです。馬場は「不良」でしたが、500万下としては息の入らない厳しい流れになりました。これがスパルタの好走要因であることは間違いありません。
また札幌ダートに関しても「稍重」という馬場状態でしたが、やはり本数が多い調教タイプの好走が目立ちます。同じく馬券総合倶楽部で推奨した苫小牧特別では◎マルサライガーが12番人気ながら3着に好走して複勝1,110円をつけてくれました。
せっかくなので、こちらもコラムに記した内容を抜粋してみます。
「◎マルサライガー(3着)
△チノハテマデモ
×スズカフレーム
注トウカイプライム(2着)
マルサライガーの前走は休養明けで標準少めトラックと本数が足りない調教タイプ。見せ場のない9着も仕方ない結果だと思います。
今回はひと叩きして調教内容も強化。追い切りは長めからラストまでしっかり追われており、明らかに前走より良化しています。また前日追いもこなす入念な調教内容で札幌ダート1700mに対する調教適性は抜群です」
※馬券総合倶楽部から抜粋
このように今年の夏のダート競馬は例年以上に調教本数が重要なレースが多くなっています。雨が降って馬場が湿っても、ここまで調教傾向が出るとは思いませんでした。
なおダートで調教本数が必要な理由は7月14日のコラム「
札幌ダートに学ぶローカルダート攻略法」に書いていますので、そちらをご確認ください。
ダートでは雨が降って馬場が湿っても調教適性が有効でしたが、芝の場合はそうも行きません。小倉の芝は非常に難しく、調教適性以上にジョッキーの騎乗や位置取りといったファクターで着順が変わってしまうこともありました。
この時期はどうしても雨の心配があるので「ダートで調教本数をこなしている馬」、これが一番の馬券術になりそうです。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。