先週の当コラムでは新設重賞のレパードSについて取り上げ「最終追い切りP追い」を推奨していましたが、結果的には標準多め併用の
トランセンドが勝ち、標準多め坂路主体のスーニが2着という「本数多い」調教をこなしている馬が好走しました。
予想で◎にしたアドバンスウェイはP追いだった上に一杯平均トラックと調教量に関しても水準以上と判断したのですが、調教本数が多い馬に差されてしまったわけです。
実はレパードSの前日に行われたダート1800mの両津湾特別で15番人気
プレンティスピード(単勝オッズ328.1倍)が標準多め坂路で5着まで差し込んでくるレース内容を見せていました。
この時点で「馬場が乾いていることもあって砂厚0.5cmの威力でパワーが必要な馬場かも」とは感じていました。
レパードSの勝ち時計が1分50秒を切っている点から、ポリトラック追いのようなスピード調教も必要だけども、馬場が乾くとそこに本数が必要になるということなのでしょう。
今週も良馬場で競馬が行われるようであれば、坂路もしくはポリトラックで本数多く調教を行っている馬に、最も適性がある新潟ダート1800mということになりそうです。
さて回顧はこのくらいにして、今週に目を向けましょう。今週はキーンランドCと新潟記念が行われますが、当コラムでは前者を取り上げることにします。
◆キーンランドCの過去3年成績◆
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2006年1着 チアフルスマイル(4)/標準トラック
2着 シーイズトウショウ(1)/馬ナリ平均トラック
3着 ビーナスライン(2)/標準トラック
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2007年1着 クーヴェルチュール(4)/軽目トラック
2着 アグネスラズベリ(2)/標準トラック
3着 ワイルドシャウト(3)/標準多め坂路
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2008年1着 タニノマティーニ(16)/標準トラック
2着 ビービーガルダン(2)/馬ナリ平均トラック
3着 キンシャサノキセキ(1)/標準トラック
◆今年行われたオープン競走の札幌芝1200m◆
※ラベンダー賞除く
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函館SS1着 グランプリエンゼル(1)/標準少めトラック
2着 タニノマティーニ(8)/馬ナリ平均トラック
3着 ブラックバースピン(12)/標準坂路
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UHB杯1着 ピサノパテック(6)/標準多め坂路
2着 ウエスタンビーナス(10)/馬ナリ平均坂路
3着 モルトグランデ(8)/軽目トラック
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函館2歳S1着 ステラリード(1)/軽目トラック
2着 キョウエイアシュラ(2)/一杯平均トラック
3着 ソムニア(6)/軽目トラック
※( )内は人気
列記したのは、キーンランドCの過去3年と今年の札幌芝1200mの調教傾向です。なお、ラベンダー賞は出走馬の半数が地方馬なので掲載しませんでした。
過去のキーンランドCで本数が少なくて好走したのはクーヴェルチュールただ一頭。基本的には標準程度の本数が必要なレースだと思います。
ただ今年に入ってからの札幌芝1200mは、本数が少なくても全く関係ない調教傾向が出ています。2歳戦とはいえ、軽目トラックが2頭も絡んだ函館2歳Sの結果だけを見ると、本数が必要な馬場とは言えないでしょう。
もうひとつ、今年の傾向として気になるのが「美浦坂路」で調教をこなしてきた馬の存在です。UHB杯ではそれに該当する2頭が連対を果たしていますし、函館SSでもブラックバースピンがそのパターンでした。
ブラックバースピンはUHB杯にも美浦坂路で調教をこなして再度札幌入りの競馬でしたが、これは惨敗。短期間に2度の美浦−札幌の往復は厳しかったのでしょう。つまりこの調教パターンは一回限りの鉄板調教というわけです。
キーンランドCにこの鉄板調教が使えそうなのが
ジョリーダンス。この馬の場合は美浦坂路だけでなく南Pも併用していますが、スピード調教をこなしているという意味では全く問題ありません。
更に過去3年で2度3着に入っている堀厩舎という調教適性も、アドバンテージとして考慮すると激走する条件は揃っています。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。