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ジョリーダンスに似た配合、オディールの半妹カスクドール

  • 2009年09月08日(火) 23時00分
カスクドール(牝 栗東・橋口弘次郎 父ダンスインザダーク、母キュンティア)
 母キュンティアは阪神3歳牝馬S(GI)の2着馬で、繁殖牝馬としても初仔からオディール(父クロフネ/07年ファンタジーS-GIII)を出して成功している。本馬はダンスインザダークが父。母の父Darshaanはスタミナ型ながら豊かな切れ味があるので、さほど鈍重さは感じられない。

 Nijinsky≒The Minstrelの4分の3同血クロスに加え、母系にMilan Mill、Vaguely Nobleを持つ配合は、父の代表産駒の1頭ジョリーダンスと似ている。芝の中距離で本領を発揮しそう。

シゲルイッテツ(牡 栗東・服部利之 父マンハッタンカフェ、母シマリングゲージ)
 昨年のHBAサマーセールにおいて200万円という安値で落札された。馬体を見ていないので適切な価格かどうかは判断できないが、少なくとも配合を見るかぎりにおいては「安い」という印象だ。半兄アドマイヤサムライ(父ネオユニヴァース)は芝1800mの新馬戦を勝った。

 父マンハッタンカフェは、母系が非主流血脈で構成されているためか、影響力の強い主流血統(特にアメリカ血統)との相性は悪くない。本馬のようにMr.ProspectorとNorthern Dancerを併せ持つ配合も成功している。Danzigが入る場合は距離がもたない馬が目につくので、活躍の場はマイル以下だろう。ダートでもいけるはず。

ダノンカスガ(牡 栗東・音無秀孝 父シンボリクリスエス、母ファイナルデスティネーション)
 母ファイナルデスティネーションはニュージーランド1000ギニー(G1)など同国でG1を2勝した名牝。その父O'Reillyはラストタイクーン産駒で、ニュージーランド年度代表馬に輝いた快速馬。これにGone Westを交配してダノンムロー(07年ファルコンS-GIII・4着)が、Fusaichi Pegasusを交配してファイナルスコアー(準OP)が生まれた。繁殖成績も優れている。

 全兄ジェットスパークルは中央未勝利だが、配合構成は決して悪くないのでリベンジが期待できる。本馬と同じく母系にラストタイクーンを持つシンボリクリスエス産駒にはモンテクリスエス(09年ダイヤモンドS-GIII)がいる。芝・ダート兼用のマイラー。

トーセンアミアブル(牝 栗東・角居勝彦 父トーセンダンス、母チェリーラブ)
 半兄マイネルレーニア(父グラスワンダー)は、スワンS(GII)と京王杯2歳S(GII)を勝った。本馬の父トーセンダンスは、現役時代に未勝利馬ながら、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの全弟という良血を買われて種牡馬となった。今年の2歳世代が初年度産駒で、現在9頭がデビューしたものの連に絡んだ馬が出ていない。

 母系にサクラユタカオーを持つダンスインザダーク産駒から、ダイタクバートラム、コーナーストーン、タガノエスペランサとそこそこ走る馬が出ているので、「トーセンダンス×サクラユタカオー」の本馬にも期待できる。芝向きの中距離タイプ。

マイネルグート(牡 美浦・稲葉隆一 父ロージズインメイ、母ホクトスプライト)
 2代母ホクトビーナスはホクトヘリオス(重賞5勝)の半妹で、桜花賞(GI)2着という成績がある。母ホクトスプライトは現役時代に3勝。これまでに送り出した産駒3頭は平凡だったが、近親にはビーナスライン(06年函館スプリントS-GIII)もおり、繁殖牝馬としては注目したい存在だ。配合が合えば大物を出せるだろう。

 アクの強い血で構成されているので、薄味で母系の特徴を表に出しやすい父ロージズインメイとの組み合わせは悪くないはず。本馬と同じ「ロージズインメイ×トニービン」のマイネアロマは芝1800mの新馬戦を快勝している。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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