先週で夏競馬が終了し、今週からは中山、阪神が開幕。秋のGI競走へ向けたトライアル戦も始まります。
そして今年は札幌開催が終了し、ローカルとして新潟6日間開催がスタートします。
個人的には良馬場でスピード優先の競馬が行われる可能性のある中山や阪神よりも、夏の開催で馬場がほどよく傷んだ新潟の芝で行われる競馬の方が調教適性が発揮され、近走成績が不振であっても、調教適性で好走できるという可能性が大きくなると思います。
それを実感させてくれたのが先週行われた新潟2歳S。このレースを勝ったのは先週の当コラムでも書いていた夏の終わりに使える「標準多め」の
シンメイフジ。
勝ち馬は1番人気だったため、調教適性以上に馬の能力が高かったという可能性も十分ありますが、2着に入った標準多め併用の
フローライゼは単勝46.8倍の15番人気。
新馬戦の勝ち時計が平凡だったことを考えると、実績で好走できたというよりも、出走メンバー中、唯一の標準多め併用という調教タイプが2着の好走をアシストしたと考えたいですね。
戦前の予想としては「レース週の追い切りを馬なりで先着」を重要なデータとして考えていたため、該当馬のギュンターを中心視しましたが、この馬の調教タイプは馬ナリ平均トラック。フローライゼの好走を考えると、調教量の必要な芝だったことは間違いないので、せめて標準トラックならクロフォードとの競り合いに負けることはなかったように思います。
今週からの新潟開催はメンバーの実力差が拮抗しているローカル開催。荒れた馬場を制するためには調教による運動量は必要不可欠というわけです。
特に芝外回りで行われる3歳上500万下あたりのレースでは、「標準多め併用」を基本とした調教量豊富な調教タイプの激走に期待したいところです。
ところで中山、阪神での開催ですが、こちらは波乱の期待値は低いように思います。
阪神は芝外回りがあるため、馬場が荒れてくれさえすれば、標準多め坂路のようなパワーのある調教タイプが好走できる舞台ですが、開幕週ということで調教で鍛えたパワーが活かせないということになります。
例えば2008年の4回阪神2日目芝外回りの1600mで行われた3歳上500万下では、馬ナリ平均坂路の1番人気
ハンドレッドスコアが快勝しました。
このレースの上がりは34.0秒、勝ち馬自身は33.5秒という自身のスピード能力を存分に発揮した末脚で差し切りを決めています。
もし時計が掛かるような馬場であれば、このレースで8着だった標準多め併用の10番人気
ジョニーバローズのような調教量豊富な調教タイプがもっと上位に食い込めたはずです。出走メンバー中、3位の34.1秒という上がりを使って勝ち馬に1.2秒も離されているのですから、調教適性だけではどうにもならない「調教量が必要ない馬場」だったということでしょう。
ですからレースの上がりが34秒台になるような馬場であれば(特に阪神芝外回り)、調教適性から穴馬券を拾うことは至難の業になるでしょう。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。