かかり気味に先行し、遂には先頭に立ってしまったオルフェーヴルが3コーナーで外へとヨレながら最後方まで下がってしまった。
レース中に故障した馬が後続に迷惑をかけないようにと、失速しながら外ラチのほうへ出していくという光景に出くわすことがある。
故障か!
ところが、この走りは騎手が異常を感じてのものではなかったようだ。
レース後に騎手を振り落とすなど、これまでにもヤンチャなところを見せていたオルフェーヴルが、ついにレース中にやらかしてしまったようだ。
阪神大賞典の3コーナーで下がっていったオルフェのファイティング・スピリットに再び火が点いた。
しかし、あれだけの大きなロスをかかえて勝ちきることは常識的にはあり得ない。
と同時に、その「あり得ない」ことが起こったマルゼンスキーのレースが脳裏をよぎった。
1977年日本短波賞(現・ラジオNIKKEI賞)で単勝元返しの1番人気を背負って逃げていたマルゼンスキーが、やはり3コーナーで急に脚色がおかしくなったことがあった。
なにしろ、それまで圧倒的な強さで無敗の快進撃を続けていた馬だったので、誰もが故障かと息を呑んだ。
慌てて騎手が気合をつけると、そこからまたグンと加速して、ゴールでは後の菊花賞馬プレストウコウを7馬身もちぎって捨てた。
聞くところによると、返し馬をそこでやめてしまったために、馬がレースの終わる場所をそこだと勘違いしたのではないかという話も伝わっている。
とにかく、マルゼンスキーは桁違いに強かった。
オルフェーヴルの強さならもしかして・・・
と、期待しながらレースを見ていたが、やはり奇跡は起こらなかった。
先に抜け出したギュスターヴクライを半馬身まで追詰めるのが精一杯だった。
実はこの結果が当たり前のことなのだ。
マルゼンスキーのようなレースはなかなかあるものではない。
あれだけのロスは致命傷なのだ。
オルフェはマルゼンスキーには成れなかった。
それでも、オルフェーヴルが強い馬であることには変わりはない。
気性的にももっと成長して、秋には日本競馬史に残る大きな仕事を成し遂げてくれるものと期待している。
それが、今日のオルフェの単勝を買っていたファンへのお詫びにもなることだろう。
ケイバにどっぷりの人です。気の向くままにコラムというか、思ったことを書き綴ることがあります。現在、ブログは休眠中。しばらくは、ここのコラムを使って忘れた頃に書き綴る予定です。ブログ...
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