先週から中山、阪神が開幕しましたが、それについて当コラムには以下のような見解を書いていました。
「阪神は芝外回りがあるため、馬場が荒れてくれさえすれば、標準多め坂路のようなパワーのある調教タイプが好走できる舞台ですが、開幕週ということで調教で鍛えたパワーが活かせないということになります。」
つまり開幕週なので、標準多め坂路よりもスピード能力の高い馬ナリ平均坂路などが好走すると読んだわけです。
ところがJRA発表の馬場情報によると「開催終了後は肥料散布等による生育管理に努めましたが、今夏の低温及び日照不足によって野芝の生長が例年より鈍く、蹄跡の回復が遅れている箇所が目立っております」と出ているではありませんか。
この馬場情報を見ていれば「調教で鍛えたパワーが活かせない」などと記載することはありませんでした。逆に「例年よりも野芝の生長が鈍いので、開幕週から標準多め坂路が好走できる馬場かも知れません」という見解を出せたと思います。
そして迎えた週末。初日に阪神芝外回りの1600mで行われたのが甲東特別でした。結果は、
1着 標準多め坂路
2着 乗込坂路
3着 標準多め坂路
と「坂路で本数多く」の調教タイプが上位を独占しました。
カノヤトップレディは最後方から追い込んでの3着でしたが、前半1000mの通過が60.1秒とマイル戦にしては速くないペースだったことを考えると、やはり馬場が荒れており、標準多め坂路の調教適性で差し込んできたと考えるのが自然です。
この結果を受けて、2日目に行われた3歳上500万下の芝1600mは週末出演した「競馬予想TV!」の狙い目で取り上げることにしました。
調教マトリックスで好走ゾーンに入るのは標準多め坂路。それに該当したのは
トゥリオンファーレと
メイショウシオギリの2頭だけでした。
レース結果はご存じの通り、10番人気メイショウシオギリが勝って単勝2,890円の高配当を演出しました。
また2着にトゥリオンファーレが入り、標準多め坂路の決着で馬連3,580円。狙い目ではトゥリオンファーレに◎を打ち、単勝、3連複、3連単という馬券しか購入していなかったため、シオギリの単勝や馬連は取り逃しましたが、調教傾向としては間違いなく「標準多め坂路」が中心の阪神芝外回りです。
今週末は芝1800mの外回りでローズSが行われます。昨年は重馬場で行われたということもあり、
1着 標準坂路
2着 標準併用
3着 標準坂路
と牝馬限定重賞らしくない、それなりに調教量が必要なレースとなりました。
今年の場合は良馬場で行われたとしても、前述のような馬場ですから、最低でも標準坂路程度の運動量は必要になってくるでしょう。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。