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様々な復刻イベント

  • 2009年09月19日(土) 01時01分
 19日(土)から始まった、日本の歴史上おそらく初めての秋の大型連休。あなたはどう過ごしていますか?「そりゃあ、競馬三昧に決まってるだろう」ですって? それはそれは、主催者に成り代わりまして、厚く御礼申し上げます!

 私は、20、21日の両日、ばんえい帯広競馬の場外発売が行われる福山競馬場で、トークショーと場立ち予想会に出演します(※注1)。お近くの方は、みなさんお誘い合わせの上、ぜひご来場下さい。

 話変わって、今、東京のJR山手線に茶色の電車が走っています。今年は山手線命名100周年。それを記念して、昭和30年代まで同線を走っていた電車の塗装を復活させた、とのことです。

 ちなみに、山手線の正しい読み方は「やまのてせん」です。同線が通る地域が東京の「下町」ではなく「山の手」だったことに由来しています。

 ですが、戦後しばらくの間は「やまてせん」と呼ばれてきました。某家電量販店のコマーシャルソングの歌詞も、昔は「ま〜るいミドリの“やまてせん”」だったでしょう?

 しかし、今から40年ほど前に、再び由緒正しい「やまのてせん」に戻されました。横浜のJR根岸線に「山手(やまて)」駅があり(近くに旧・根岸競馬場跡や馬の博物館があります)、そこを通る線と混同されないように、という理由もあったようです。

 にもかかわらず、JR恵比寿駅構内エスカレーターの自動音声案内は「“やまてせん”ホーム行き、下りエスカレーターです」なんて言っています。けしからんことです!

 それはさておき、私が物ごころついた頃には、もう山手線の電車はウグイス色になっていました。でも、当時住んでいた家の近くを通る常磐線の電車はいわゆる“旧型国電”で、茶色に塗られていたんです。それを知っている人間からすると、今、山手線を走っている茶色の電車は、某チョコレートメーカーの広告は入っているし、何よりモーター音が昔のものと違うので、ハッキリ言ってあまり懐かしいという感じはしません。関西へ行けば、茶色の電車は阪急や近鉄でフツウに見られますしね。

 今回の電車の塗装だけでなく、このところ野球のユニフォームでも“復刻”が相次いでいます。去年から今年にかけて、西武が西鉄時代の、ソフトバンクが南海時代の、ヤクルトが国鉄時代のユニフォームを着用して試合をしました。そのほか、巨人、阪神、ロッテなども、昔のユニフォームを復刻させました。

 アメリカの大リーグでそういう企画があって、それを模したわけですが、ファンにはなかなか好評だったようです。また、社会人野球のJR東日本チームは、ユニフォームを明治時代のデザイン(に近いもの)に切り替えました。これ、目立ってます。

 そこで考えたのが、競馬でも何か“復刻イベント”ができないものか、ということ。往年の名ジョッキーたちによるマスターズレースはそのひとつでしょう。これはメンバーを入れ替えながら毎年の恒例行事にしてほしいと思います。でも、他に何かできませんかね。

 ファンファーレと本馬場入場曲の復刻、というのはいかがですか。数年前、JRA50周年記念レースが行われたときに、昔の重賞ファンファーレを流したことがありました。あれをまたどこかで、ついでに本馬場入場の行進曲もあわせて復活させたらどうか、という話です。

 今でも、ばんえい競馬の本馬場入場の時には、その昔、中央競馬で使っていた行進曲の一部が流れます。さらに、3月のばんえい記念のレース前には、かつての重賞ファンファーレ(これも中央競馬で使われていました)と新しいファンファーレをつないだものが生演奏されます。

 これには、ばんえい競馬が廃止を免れ、帯広単独開催で新たなスタートを切った際にファンファーレが一新されたんですが、ファンの間から「ばんえい記念だけは昔のメロディーじゃないと雰囲気が出ない」という声が上がり、それを受けて新旧のファンファーレをつなぎ合わせることになった、という経緯がありました。ファンファーレや入場行進曲の復刻なら、あまりお金をかけずに、簡単にできるはずです。

 昔の出馬表や成績表をレーシングプログラムの付録につける、というのもいいかもしれません。できれば昔の競馬新聞の復刻版にしてほしいですね。

 専門紙『日刊競馬』のホームページ(※注2)を開くと、「日刊競馬で振り返る名馬」と「日刊競馬で振り返るGI」というコーナーがあります。これがなかなかのスグレもの。シンザンの菊花賞とかハイセイコーの皐月賞などの復刻版出馬表を閲覧できて、当時の雰囲気を感じ取れます。新聞の復刻版って、けっこうおもしろいと思うんですけど。

 去年と今年、埼玉西武ライオンズが西鉄ライオンズと1990年代の西武ライオンズのユニフォームを復刻させたときには、当時の西日本スポーツやスポーツニッポンの1面を復刻させたものがファンにプレゼントされました。観戦の記念にもなるし、コレクションアイテムにもなりそう。競馬でもやってもらいたいと思います。

 今のところ、このくらいしか競馬の“復刻イベント”は思いつきません。“バリア式スタート”のレースを再現するとか、騎手に“天神乗り”でレースをしてもらう、なんていうのはちょっと無理そうですし。みなさん、何かいいアイデアがあったら、ぜひJRAにリクエストしてみてくださいね。では、また来週!

※注1【福山競馬HP】
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/keiba/newstopics/60th-festival2.html

※注2【日刊競馬】
http://www.nikkankeiba.co.jp/

地方、ばんえい、さらには海外にも精通する矢野吉彦のJRA・GI予想は「矢野吉彦の競馬日記」へ

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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