ウィッシュボーン(牡 美浦・柴田政人 父ステイゴールド、母イシノグレイス)
母イシノグレイスは短距離戦で活躍し、アイビスサマーダッシュ(GIII)4着などの成績がある。本馬が初子。母系にNijinskyを持つステイゴールド産駒からは、3頭の重賞勝ち馬(アルコセニョーラ、マイネレーツェル、シルクメビウス)が出ている。また、Halo≒Sir Ivor 3×4、ロイヤルサッシュ≒Mill Reef≒Sir Gaylord 4×4・5なども悪くない。ステイゴールド産駒に不足しがちなスピード、早熟性といった要素を補っているので好感が持てる。芝向きのマイラーだろう。
コードゼット(牡 栗東・松永幹夫 父キングカメハメハ、母ヘヴンリーロマンス)
母ヘヴンリーロマンスは、牝馬ながら天皇賞・秋(GI)を制したほか、札幌記念(GII)、阪神牝馬S(GII)を勝った名牝。本馬の父キングカメハメハは、Nureyevを含んでいるので、母系にSadler's Wellsが入ると、Nureyev≒Sadler's Wellsの4分の3同血クロスが生じる。Kingmambo系の名馬は、エルコンドルパサーをはじめこのクロスから誕生するケースが多いのだが、父がキングカメハメハの場合、現状では芝向きの伸びやかさに欠けるダート馬が目につく。本馬もこの配合パターンなのだが、母の父にサンデーサイレンスが入るので、芝適性という部分は問題ないはずだ。母ヘヴンリーロマンスの瞬発力が伝わっていれば楽しみが大きい。芝・ダート兼用で1600〜1800mあたりが適距離。
セレソローサ(牝 美浦・高松邦男 父マンハッタンカフェ、母スピリチャルワーズ)
母スピリチャルワーズは2勝馬。母系にNijinskyを持つアフリート産駒はニックスで、この配合パターンからはプリモディーネ(99年桜花賞-GI)、プリエミネンス(ダート重賞8勝)、ビッグウルフ(03年ジャパンダートダービー-GI)をはじめ多数の活躍馬が出ている。配合的に見どころのある牝馬だった。これにマンハッタンカフェを付けて誕生したのが本馬。母系にCaerleonを持つマンハッタンカフェ産駒には、ジョーカプチーノ(09年NHKマイルC-GI)、レッドディザイア(09年桜花賞-GI・2着、09年オークス-GI・2着)、マッハヴェロシティ(09年青葉賞-GII・2着)、アラシヲヨブオトコ(08年デイリー杯2歳S-GII・5着)などの活躍馬がいる。芝向きの中距離馬。
ベストツヨシ(牡 美浦・伊藤伸一 父タヤスツヨシ、母レンベルスキー)
母レンベルスキーは公営金沢競馬で通算40戦1勝の下級条件馬だった。近親にもこれといった活躍馬はいない。しかし、配合的には注目できる。母系にマルゼンスキーを持つタヤスツヨシには、ディーエスサンダー(03年マーキュリーC-GIII)、マルタカハーモニー(OP)、ビービートルネード(東京ダービーなど南関東重賞3勝)などの活躍馬がいる。母系の奥でHyperion血脈がしっかりサポートしている点にも好感が持てる。ダート向きの中距離馬。
ロスグラシアレス(牝 栗東・大久保龍志 父シンボリクリスエス、母ロスマリヌス)
母ロスマリヌスはグレイトジャーニー(04年シンザン記念-GIII、06年ダービー卿CT-GIII)の全姉、ノーリーズン(02年皐月賞-GI)の半姉にあたる良血。現役時代は2戦2勝。2戦目の白菊賞(500万下)ではダイタクリーヴァ(重賞5勝)相手に完勝しており、故障せず現役生活をまっとうしていれば、サンデーサイレンス牝馬の代表産駒の1頭となっていた可能性もある。これまでに送り出した産駒にロスペトリュス(父タイキシャトル/2勝)、ロスパンチョス(父フレンチデピュティ/1勝)などがいる。「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス+Mr.Prospector」という組み合わせは、マイル路線の若手注目株ワールドコンパスと同じ。芝向きのマイラーだろう。