秋の大型連休、競馬ファンのみなさんの収支はいかがでしたか? 私は、福山競馬場のばんえい場立ち予想会で、馬単の万馬券を1本、◎→△で的中させました。ところが、自分が買っていた馬券は枠複。それでも4000円超の配当がついたので、まぁよしとしましょう。おかげさまで、いい大型連休になりました。
さて、日本の競馬はこれからいよいよ佳境を迎えようとしていますが、ヨーロッパの平地競馬は早くもシーズン最終盤。来週10月4日(日)には、締めくくりの大一番、凱旋門賞が行われます。ブエナビスタが参戦しないのは残念ですが、今年の凱旋門賞は歴史的な一戦になりそうです。
主役となるのは、ご存知、シーザスターズ。今年の英国2冠馬です。2冠制覇後も、7月のエクリプスS、8月の英インターナショナルS、9月の愛チャンピオンSを連覇。現在通算7連勝中、しかも、今年に入ってからはすべてG1レースを走って5連勝中と、非の打ちどころのない戦績を収めています。
英国2冠馬(英2000ギニー&ダービー優勝馬)が凱旋門賞に駒を進めるのは、1970年のニジンスキー以来39年ぶり。英国2冠馬そのものが、89年のナシュワン以来19年間出ていませんでしたから、そういう馬が凱旋門賞に出てくるだけで、歴史的なレースと言えるわけです。
39年前のニジンスキーは、凱旋門賞2着。それ以前にも、英国2冠馬が凱旋門賞を制した例はありません(私が調べた限りでは、凱旋門賞に出走したのはニジンスキーとサーアイヴァーの2頭だけのようです)。したがって、シーザスターズが今回の凱旋門賞を勝てば、当然ながら史上初めての快挙となります。
こうなったら、シーザスターズに歴史的快挙を達成してもらいたいところ。しかし、ライバルも黙っちゃいないでしょう。今のところ、主要ブックメーカーの前売りオッズでは、アイリッシュダービー馬フェイムアンドグローリーが2番人気に推されています。同馬はここまで7戦5勝。負けた2戦は英ダービーと愛チャンピオンSで、どちらもシーザスターズの2着になっています。つまり、シーザスターズ以外の馬には負けていないということ。今回、“3度目の正直”でシーザスターズに勝てるか、大いに注目です。
フェイムアンドグローリーを管理するエイダン・オブライエン調教師の“打倒シーザスターズ”に対する執念も尋常ではありません。次に挙げるのは、シーザスターズが勝った今年のG1レースの出走頭数、その中に占めるオブライエン厩舎所属馬の数と最先着馬、そしてその着順です。
◎英2000ギニー=15頭、2頭、リップヴァンウィンクル、4着
◎英ダービー=12頭、6頭、フェイムアンドグローリー、2着(2〜5着がオブライエン厩舎所属馬)
◎エクリプスS=10頭、3頭、リップヴァンウィンクル、2着
◎英インターナショナルS=4頭、3頭、マスタークラフツマン、2着
◎愛チャンピオンS=9頭、5頭、フェイムアンドグローリー、2着
ご覧のように、オブライエン調教師は、次から次へと厩舎自慢の“刺客”を送り込みながら、どうしてもシーザスターズに土をつけることができないでいるんです。英インターナショナルSに至っては、4頭立てのうち3頭がオブライエン調教師の管理馬。マスタークラフツマンに2頭のペースメーカーをつけて“シーザスターズ包囲網”を形成したのですが、それでもダメでした。今回の凱旋門賞で、オブライエン調教師がシーザスターズにようやく一矢報いることができるのか? これも注目の的です。
ほかにも、今年のキングジョージを制したコンデュイット(4歳)が古馬の大将格として出走を予定。さらに、7月のパリ大賞典、今月のニエユ賞を連勝した(ディープインパクトが挑戦した06年凱旋門賞の優勝馬レイルリンクと同じステップ)のキャヴァルリーマンや、今年の仏オークス馬で、今月のヴェルメイユ賞では1着馬の降着で繰り上がり優勝し、デビュー以来の連勝を6に伸ばしたスタセリタ、去年の仏ダービー馬で、今年はロイヤルアスコットの看板古馬G1、プリンスオブウェールズSを制したヴィジョンデタ、今年の英・愛オークスを連勝したサリスカなどがエントリーしています。顔ぶれは“超”がつくほど豪華。これは“世紀の一大決戦”と言ってもいいでしょう。
「ブエナビスタが出ないから見に行く意味がなくなった」とパリ行きを取りやめた方、もったいないことをしましたね。私もこの原稿を書いていて、だんだん見に行きたくなってきました(でも、前後に仕事があるので行けません!)。
それにしても、超豪華メンバーのほとんどが3歳馬。この流れが今後も続くとすれば、日本馬からもバリバリの3歳馬を挑戦させない限り、日本馬による凱旋門賞制覇は困難になるでしょうね。そう、ご存知のとおり、同レースの負担重量は古馬59.5?に対して3歳馬は56?(牝馬はそれぞれ1.5?減)。圧倒的に3歳馬有利なんですから。
さぁみなさん、今週は親しい競馬仲間と凱旋門賞予想談義に花を咲かせてみてはいかがでしょう? (結局、日本で馬券を買えたらいいのに、という話になりそうですが)。では、また来週!
地方、ばんえい、さらには海外にも精通する矢野吉彦のJRA・GI予想は「
矢野吉彦の競馬日記」へ