先週、10月2日より栗東トレーニングセンターDコースに新設されたポリトラックコースが開場されました。
以前のウッドチップが敷かれていた時からの主な変更点は、
・芝馬場の幅員を4m狭めて、芝14m、ポリ14mになった(以前は芝18m、ウッド10m)
・幅員の変更により、3頭併せが可能になった
・調教時間中のハロー掛けがなくなった
あたりになるでしょう。
3頭併せが可能になったことにより、CWでの3頭併せが主流だった角居厩舎あたりは積極的にポリトラック馬場を利用してくるかも知れません。
さて私が10月2日にポリトラック馬場で行われている調教見て受けた印象は「スピードが出そうだなあ」というものでした。
朝一番に須貝尚厩舎が3頭併せを行ったのですが、そこで大外にいたワーキングウーマンは抑え切れない手応えで3F40.7秒、1F13.2秒で駆け上がってきました。ラストなんて馬が勝手に前に進んでいくように見えたので、馬にとっても相当走りやすい馬場なんだろうと思いました。
また軽めのキャンターを見ていても実に軽快で「負担は軽く、スピード速く」という走りに見えました。
実際、調教に騎乗していた佐々木晶厩舎の山田助手は「気を抜いて手綱を緩めたら、すぐに時計になりそう。本馬場(芝コース)のクッションを柔らかくした感じちゃうかな」とポリトラック馬場の感想を教えてくれました。
この日は佐々木晶厩舎の馬が積極的にポリトラック馬場でキャンターを行いましたが「腰の状態が思わしくないスカイハイシチーをポリトラックに入れてみたけど、騎乗者からは『全然腰が気になりませんでした』と話していたから、腰が悪い馬には負担が軽くていいね」と佐々木調教師。ただ「ウッドチップに比べると運動負荷が軽いから、そのあたりを考慮して使用しないと調教で体を造っているつもりでも出来てこない、なんてこともあるかも知れない」と長所と短所をしっかり見極める必要があるということでした。
シリウスS2着だった
ダークメッセージもポリトラック馬場で最終調整を行いましたが、競馬では休養明けにも関わらず、中団につけて差してくる競馬でしたから「スピードへの対応力」という意味でポリトラックの効果があったのかも知れません。
DW時代に
ディープインパクトを育てた池江郎厩舎も開場初日から積極的にポリトラック馬場を利用していました。
「乗っている人間に聞くと感触は良さそうだよ。これから乗り手も慣れていけば、追い切りでも使うことになるだろうね」と池江郎調教師。10月3日には池江厩舎の特徴でもある「前日追い」をポリトラック馬場で行っており、今週の追い切りから利用する可能性も大きいでしょう。
この他に聞いた厩舎からの声としての感触は非常に良いものばかりでしたから、新装開店としては上々のスタートを切れた言ってよいでしょう。
あとは速い追い切りを行った時にどのような声が上がってくるのか? このあたりも当コラムでまた報告したいと思います。

調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
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