アインヘルト(牡 栗東・浅見秀一 父Azamour、母プンティラ)
半姉にヴィンターケーニギン賞(独G3)4着のPakamaがいる。母プンティラはドイツオークス(G2)を勝った一流馬で、その半妹にクリテリウムドサンクルー(仏G1)を勝ったPaitaがいる良血。母プンティラは、最近のヨーロッパ競馬のトレンドであるドイツ血統で構成されており、Literat 3×4、Aggravate 2×5というドイツ血統らしいクロスを持っている。父AzamourはNight Shiftを経てNorthern Dancerにさかのぼるラインで、現役時代にキングジョージ6世&クイーンエリザベス2世S(英G1)など4つのG1を制した名馬。今年の2歳世代が初年度産駒。父母ともに実績は申し分なく、配合的にも悪くないが、問題は日本向きのスピードがあるかどうか。どちらかといえば洋芝のほうがよく、距離は1800m以上は欲しい。
ディオーサ(牝 美浦・手塚貴久 父マンハッタンカフェ、母ジェニアリータ)
母ジェニアリータは1勝馬。父マンハッタンカフェは、Mr.ProspectorとNijinskyを併せ持つ繁殖牝馬から、イコピコ、サンディエゴシチー、マンハッタンスカイ、レッドアゲート、メイショウレガーロ、エーシンモアオバーと多くの活躍馬を出している。本馬は母の父がGone West(Mr.Prospector系)で、母の父がマルゼンスキー(Nijinsky系)なのでこのパターン。全兄シュヴァイツァーは1勝馬だが、配合的ポテンシャルは高いので、本馬はもっと出世する可能性がある。
テックスメックス(牝 美浦・杉浦宏昭 父El Prado、母エヴァンタイユ)
半兄Straight Story(父Giant's Causeway)はコロニアルターフC(米G2)2着、ヴァージニアダービー(米G2)2着と、アメリカの芝戦線で健闘している。母エヴァンタイユは北米で17戦5勝、グレードレースの勝ち星はないが、ハニービーS(G3)で2着という成績がある。父El PradoはSadler's Wells系ながら北米でチャンピオンサイアーに輝いた名種牡馬。本馬は「El Prado×Lear Fan」という組み合わせ。これはEl Pradoの代表産駒の1頭、Kitten's Joy(北米で2つG1を含めて7つのGレースを制覇)と同じ。Thong=Lt.Stevens 5×4がという同血クロスが隠し味となって利いている。芝向きの中距離タイプ。
アインファルケ(牝 栗東・沖芳夫 父マリエンバード、母オオシマルチア)
半兄カルストンライトオ(父ウォーニング)はスプリンターズSを勝ち、アイビスサマーダッシュ(GIII)を2勝。芝1000m53秒7という日本レコードも樹立している。ただ、父がウォーニングからマリエンバードに替わった本馬は、兄とはまったく違ったキャラクターになるはず。父マリエンバードはカーリアン系の凱旋門賞馬。芝向きの中距離タイプだろう。
アンソニカ(牝 栗東・吉田直弘 父Purge、母Enabru)
半兄スーニ(父Soto)は全日本2歳優駿(交流GI)と兵庫ジュニアグランプリ(交流GII)の勝ち馬。2歳時は怪物的に強かったが、3歳になってからはもうひとつ成長がなく、トップクラスではあるがトップとはいえない存在に落ち着いている。本馬の父はPurge。その父Pulpit、2代父A.P.Indy、3代父Seattle Slewとさかのぼる系統で、現役時代はシガーマイル(米G1)など3つの重賞を制した。スーニの父Sotoよりも格上だ。今年の2歳世代が初年度産駒なので、まだこれといった産駒は現れていない。母Enabruは、Pleasant Colony、Dixieland Bandといった重厚な血脈を抱えているので、速いアメリカ血統を交配すれば何でも走りそうなイメージがある。ダート向きのマイラー。
クレバーオペラ(牝 栗東・崎山博樹 父ステイゴールド、母カリスマサンオペラ)
母カリスマサンオペラは中山金杯(GIII)の勝ち馬。父ステイゴールドは、香港ヴァーズ(G1)、ドバイシーマクラシック(G2)などを制した名馬で、種牡馬としてもドリームジャーニーやナカヤマフェスタなど多くの重賞勝ち馬を送り出して成功している。繋養場所は社台SSではなく、交配牝馬に必ずしも恵まれているとはいえない。にもかかわらずこれだけの成績を残すのだからポテンシャルは高い。Princely Giftクロスを持つステイゴールド産駒にはサンライズマックス、マイネレーツェル、コスモプラチナなどがいる。母の父オペラハウスの鈍重さが邪魔しなければ楽しめそうだ。
ジューダ(牡 栗東・松元茂樹 父キングカメハメハ、母スティルインラブ)
母スティルインラブはメジロラモーヌに次ぐ史上2頭目の牝馬三冠馬。本馬を産んだその年に腸重積を引き起こして急死した。残された産駒は1頭しかいない。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」からはゴールデンチケット(兵庫チャンピオンシップ)やナサニエル(全日本2歳優駿−2着)が出ているものの、全体的にはあまり走っているとはいえない。ただ、本馬はキングカメハメハ産駒の配合として決して悪いものではなく、母系にRobertoが入るパターンはフィフスペトルと同じ。芝向きの中距離馬だろう。