今週から、いよいよ本格的な秋のGIシーズンが始まります。まずは秋華賞。いきなり、ブエナビスタとレッドディザイアの激突が見られるなんて、実に豪華な幕開けになりました。
さて、この秋華賞、なんとも特異なレース名だと思いませんか? 広辞苑を引いても、“秋華”という言葉は出てきません。いったいどういう言葉なんでしょうか?
その由来は、JRAのホームページ、「特別レース名解説」に載っています。いわく、「競走名の『秋華』は、中国の詩人である杜甫や張衡が文字通り『あきのはな』として詩中で用いた言葉である。『秋』は大きな実りを表し、『華』には名誉、盛り、容姿が美しいという意味が込められている」。
このレースが始まったのは1996年。今から思うと、よくぞこの言葉を掘り起こしたものですね。確かにその意味からすると、秋の牝馬のGIにふさわしいタイトル。このレース名が決まるまでには、平成とか昭和とか、元号を決めるのと同じような経緯があったのかもしれません。
でも、“秋華”という言葉を採り入れたのは、JRAの競走名が最初ではなかった可能性もあります。“秋華”を、インターネットで検索してみました。すると、学校の文化祭のタイトルとして使われているじゃないですか。
とくに古い歴史を誇るのが、都立小金井工業高校の「秋華祭」。どうやら60年以上にわたって開催されているようです。実はこの高校、今年度限りで閉校となり、来年度からは新たに科学技術高校としてスタートするとのこと。新しい学校の文化祭が「秋華祭」になるかどうかはわかりません。
他では、奈良県立大学の「秋華祭」も40年以上の歴史があるみたいです。さらに、京都経済短期大学や神戸市中央区の文化祭にも「秋華祭」のタイトルが使われています。
これらの文化祭が、はじめから「秋華祭」と銘打って行われてきたかどうかは不明です(スミマセン、取材をしなかったので)。とはいえ、秋華賞の創設より前から“秋華”という言葉が使われていたとすれば、JRAはそれをパクっただけ、ということもありえます。
まぁ、JRAが独自に掘り起こしたか、文化祭のタイトルをパクったか、なんて、べつにどっちでもいい話。秋華賞というレース名は、ほかのものとは違った特別な“輝き”があると思うのですが。
それに比べると、阪神ジュベナイルフィリーズと朝日杯フューチュリティステークスというレース名は、いまだになかなか馴染めません。国会の答弁など、ちょっと気取った“もの言い”をするときに、やたらと外国語を使う発想と同じ。美しい響きや文字に込められた奥深い意味をまるで感じ取れないんです。
「オマエの滑舌が悪いから八つ当たりしてるんだろ」ですって? いやいや、そういうわけではありません。あらためて考えてみてください。“優駿”っていうのも、いい言葉でしょう? そのレース名が、国際化の流れの中で、外国の人たちにわかりづらくなっているとしたら、東京優駿=日本ダービーのようにサブタイトルをつければいいだけ。
先に挙げた2つのレース名はサブタイトルにして、ぜひ日本の競馬らしい、響きがよくて美しいタイトルに変更しなおしてほしいものです。そのほうが、秋のGIシリーズをより親しみやすいものにできる、というのは言い過ぎでしょうか?
さぁ、百花繚乱の秋華賞、どんなレースになるか楽しみです。私の予想は「矢野吉彦の競馬日記」をご覧下さい。18日には、ばんえい競馬の秋の大一番・岩見沢記念もあります。こちらの予想は「ばんえい競馬情報局」でご披露しています。あわせてどうぞ。では、また来週!
▽参照(ばんえい競馬情報局)
http://blog.oddspark.com/baneiinfo/
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