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POG向きのスペシャルウィーク産駒、エアジュリアード

  • 2009年10月27日(火) 00時45分
 タガノディーバ(牝 栗東・平田修 父フジキセキ、母ディーバ)
 半兄サンカルロ(父シンボリクリスエス)はニュージーランドT(GII)の勝ち馬。2代母ミスセクレトは伊2歳牝馬チャンピオンで、3歳時には伊1000ギニー(G2)を勝っている。父フジキセキは母系にMr.Prospectorを持つ配合が成功しており、過去にこの配合からカネヒキリ(05、08年JRA賞最優秀ダートホース)、コイウタ(07年ヴィクトリアマイル-GI)、エイジアンウインズ(08年ヴィクトリアマイル-GI)、テンシノキセキ(03年セントウルS-GIII)をはじめ多数の活躍馬が出ている。本馬はこのパターン。芝向きのマイラー。

 マザーウェル(牝 栗東・平田修 父シンボリクリスエス、母シンコウラブリイ)
 マイルCS(GI)を含めて重賞を6勝したシンコウラブリイは繁殖牝馬としても優秀。これまでにロードクロノス(01年中京記念-GIII)、レディミューズ(00年チューリップ賞-GIII・2着)、トレジャー(04年目黒記念-GII・2着)、ピサノグラフ(05年フローラS-GII・4着)などを送り出している。「シンボリクリスエス×Caerleon」はミッキーチアフル(07年京王杯2歳S-GII・5着)と同じ。全姉サムワントゥラブは現1勝馬なので、これ以上を期待したいところ。

 ヤマカツマヤリス(牝 栗東・池添兼雄 父クロフネ、母ヤマカツスズラン)
 母ヤマカツスズランは阪神3歳牝馬S(GI)を含めて4つの重賞を制した逃げ馬。芝だけでなくダートでも強く、競走生活の晩年はダートを中心に走り、全日本サラブレッドC(交流GIII)を9馬身差で圧勝した。これにクロフネを交配して誕生したのが本馬。半兄ヤマカツブライアン(父ブライアンズタイム)は兵庫CS(交流GII)2着馬、半姉ヤマカツオーキッド(父ダンスインザダーク)はチューリップ賞(GIII)5着馬。コンスタントに走っている。父クロフネは優れた繁殖牝馬との交配で確実に結果を残すタイプなので悪くないだろう。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

 インピッシュハート(牝 美浦・久保田貴士 父クロフネ、母ワイプザアイ)
 半兄ストロングブラッド(父トウカイテイオー)はかしわ記念(交流GI)など4つの重賞を制した。あまりダートが得意とはいえないトウカイテイオー産駒ながらダート重賞を勝ったのだから、母系が伝えるパワーのほどがうかがえる。母ワイプザアイはフォーティナイナーとほとんど血統構成が同じ。これがダート適性の源だ。本馬は父がクロフネなので、やはりダートで活躍しそう。中山ダ1800mあたりで強そうなタイプ。

 エアジュリアード(牝 栗東・角居勝彦 父スペシャルウィーク、母ジャズキャット)
 半兄にロードマジェスティ(父ブライアンズタイム、05年共同通信杯-GIII・5着)、母の全兄に本邦輸入種牡馬タバスコキャットがいる良血。母系にStorm Catを持つスペシャルウィーク産駒には、オースミダイドウ、ダイレクトキャッチ、ダンツクインビー、モズ、ラナンキュラスなどがいる。2歳から3歳春が稼ぎ場で、2000m以下を得意とする馬が多い。POGにはうってつけの配合だ。本馬もそうしたタイプだろう。ダートもこなす。

 グロリアスフラワー(牝 栗東・音無秀孝 父スペシャルウィーク、母グロリオーサ)
 全兄グロリアスウィークは弥生賞(GII)2着、シンザン記念(GII)2着などの成績がある。母系にSadler's WellsとSir Gaylordを併せ持つ点は父の代表産駒の1頭シーザリオと同じ。グロリアスウィークの戦績どおり芝中距離で良さを発揮するタイプだろう。母系にSadler's Wellsを持つスペシャルウィーク産駒は、コンスタントには走らないものの当たれば大きい。走らないものはまったくスピードが足りない。良質のスピード血脈をどのように取り込むかが配合上の課題となる。

 シャイニンアーサー(牡 美浦・藤沢和雄 父シンボリクリスエス、母シャイニンルビー)
 母シャイニンルビーはクイーンC(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)でも3着となった活躍馬で、07年の暮れにアメリカへ輸出された。「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」の組み合わせはサクセスブロッケン(09年フェブラリーS-GI)と同じ。この配合はシンボリクリスエス産駒全体の成績に比べて芝・ダートともに連対率は上回っている。ただし、重賞で勝ち負けできるレベルにある馬は上記のサクセスブロッケンのみ。小さくまとまった産駒が目に付く。本馬は名牝の子なので楽しみが大きい。芝向きの中距離馬。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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