スプリンターズS=アルティマトゥーレ5着、秋華賞=ブエナビスタ3着(2着から降着)、菊花賞=リーチザクラウン5着、天皇賞・秋=ウオッカ3着。この秋ここまでに行われたJRA平地GIレース全4戦の、1番人気馬の成績です。あらためて言うまでもなく、いまだに1番人気馬が勝てずにいるわけですね。
実は、これって今世紀初の珍事なんです。2001年以降、秋のGIレース4戦を終えて、1番人気馬の優勝がなかった年はありません。遅くとも天皇賞・秋で、1番人気馬の連敗に終止符が打たれています(もちろん、秋のGIに限って=春は別として、の話)。今年はメッタにない年、なのです。
「どうもこの秋のGIはスンナリ行かないなぁ」と思って調べてみたら、こういう発見をしてしまいました。これを、今後のGI予想にどう生かすか。それが問題です。
では、もうちょっと突っ込んで考えてみましょう。下記の数字をご覧下さい。
【2006年以降のJRA平地GIレースにおける1〜5番人気馬の成績】
※各項目、上段の[ ]内は着別度数
下段の[ ]内は勝率-連対率-複勝率
2009年
1番人気馬[4-1-4]
[26.7-33.3-60]
2番人気馬[3-4-0]
[20-46.7-46.7]
3番人気馬[2-3-0]
[13.3-33.3-33.3]
4番人気馬[0-1-2]
[0-6.7-20]
5番人気馬[1-2-2]
[6.7-20-33.3]
1〜5人気馬合計
[10-11-8]
2008年
1番人気馬[8-5-5]
[36.4-59.1-81.8]
2番人気馬[2-3-2]
[9.1-22.7-31.8]
3番人気馬[1-2-2]
[4.5-13.6-22.7]
4番人気馬[5-0-2]
[22.7-22.7-31.8
5番人気馬[2-3-2]
[9.1-22.7-31.8]
1〜5人気馬合計
[18-13-13]
2007年
1番人気馬[5-4-3]
[22.7-40.9-54.5]
2番人気馬[3-2-4]
[13.6-22.7-40.9]
3番人気馬[7-2-0]
[31.8-40.9-40.9]
4番人気馬[1-2-4]
[4.5-13.6-31.8]
5番人気馬[2-1-2]
[9.1-13.6-22.7]
1〜5人気馬合計
[18-11-13]
2006年
1番人気馬[8-3-1]
[36.4-50-54.5]
2番人気馬[3-5-3]
[13.6-36.4-50]
3番人気馬[3-2-4]
[13.6-22.7-40.9
4番人気馬[3-1-3]
[13.6-18.2-31.8]
5番人気馬[0-3-1]
[0-13.6-18.2]
1〜5人気馬合計
[17-14-12]
今年は、1番人気馬の勝率、連対率があまりよくない、というのが一目瞭然です。3着以内に来る率はソコソコなんですけど…。しかも、ここまでに1番人気を背負って勝った馬は、桜花賞とオークスのブエナビスタ、ヴィクトリアマイルと安田記念のウオッカしかいません。牡馬の1番人気馬は全滅です。このままの傾向が続くとすれば、1番人気馬を馬単や3連単の頭に据えないほうが得策、と言ってもいいくらいです。
さらに、ここ3年は、1〜5番人気の馬が22戦中17〜18戦で勝利を収めています。しかし今年は、ここまで15戦中10勝。エリザベス女王杯以降の全レースを1〜5番人気の馬が勝てば22戦17勝で例年並みとなりますが、果たしてそうなるかどうか。ひょっとしたら、今年の上位人気馬は例年に比べて不振のままで終わってしまうかもしれません。
ただし、ここ3年のGIレースで1〜3着に入った馬全66頭のうち、42〜44頭が1〜5番人気の馬でした。“占有率”は63.6〜66.7%です。今年は、45頭(ここまでの15戦×3頭)中29頭。“占有率”は64.4%なので、こちらも勝ってはいないものの、3着までには例年並みに来ていると言えます。
こうして見ると、今年は、やっぱり1番人気の馬が勝てないのが際立っているようです。
おととしもそういう年でした。1番人気馬は、春にスズカフェニックスが高松宮記念を勝って以来、サッパリ勝てなくなりました。ようやく秋の天皇賞をメイショウサムソンが制して連敗を脱出。エリザベス女王杯でダイワスカーレット、マイルCSでダイワメジャー、JCダートでヴァーミリアンが優勝し、4連勝を果たします。しかしその後の4戦では勝てず、年間通算では5勝止まり。天皇賞・秋〜JCダートの4連勝がなかったら惨たんたる成績だったわけです。今年はおととしみたいになってしまうんでしょうか?
今年ここまでの1番人気馬の不振には、春のGIシーズンに雨の日が多かったことと、4歳以上の古馬にシッカリした馬がいないことが影響しているような気がします。
今週のエリザベス女王杯で、間違いなく1番人気に推されるはずのブエナビスタは、距離やコース、枠順といった条件が前走より好転します。同世代同士とはいえ、春のGIで2度も1番人気に応えて勝っていますから、ここも何とかしてくれるとは思います。でも、今年の傾向からすると、そこが逆に落とし穴になる可能性もなきにしもあらず。ブエナビスタには失礼ですが、これを負かす馬が現れることを期待してもいいんじゃないですか。
ここまで書いておいて何を今さら、という話ですが、競馬って、いろんなことを考えると、考えすぎてわからなくなるものでもあります。今回はみなさんを惑わせることを書いちゃいましたか? どうもスミマセン! では、また来週!
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