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西舎神社騎馬参拝

  • 2010年01月06日(水) 11時25分
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 謹賀新年。あけましておめでとうございます。

 昨年暮れに当コラムにてお伝えしたように、今年は浦河神社騎馬参拝が神社側から正月三が日を外すことを要請されたため、100年前の“原点”に立ち返り、騎馬参拝発祥の地である西舎神社(浦河町西舎)へのお参りだけで済ませることになった。

 1月2日、午前9時45分。BTC事務所の北側に位置する乗馬厩舎前より、乗用馬とポニーなど大小合わせて19頭の騎馬隊が予定通り西舎神社へ向け出発した。天候は曇りながら気温はやや高め。この時期にしては暖かい。

 行程はおよそ6km。年末に降り積もった雪が20cmほど残るBTCのグラス馬場を横切り、隊列は常歩で進む。この日よりBTCには各牧場から育成馬たちが調教に訪れており、なるべく遭遇しないようにコースも配慮された。

屋内ウッド直線の横を進む騎馬隊 芝コースを横切る

 芝コースから、坂路コース横の坂道を一列で上る。前後には先導車と予備の乗り代わり要員を乗せた車列が続き、馬の歩調に合わせてゆっくり走る。ポニーたちも同行しているため、一度も速歩になることなく、常歩のままのペースを堅持しながら西舎神社を目指した。

坂路コース横の道を上がる隊列 

 坂路を上がり、広大な敷地の広がるJRA日高育成牧場の中の裏道を南に向かって歩く。途中、乗り代わりのために二箇所で“小休止”した。

アエル前のポイント到着 

 やがて右手に優駿ビレッジ「アエル」が見えてきた。残り1kmほどのポイントで二度目の乗り代わりを行う。予定時刻よりもかなり遅れているので休まず進む。

 「西舎神社にかなり参拝者が集まっているらしいので急ぐように」との指示が飛ぶ。これまで西舎神社は山越えの道を浦河神社に向かう際の出発地点であったため、参拝客はほとんどおらず、地元の人々数人がいるだけだったが、今年はここが目的地となっているために、わざわざ足を運んでくれた一般参拝者がたくさん待っているというのだ。

 アエルの乗馬厩舎横を抜け、一箇所だけ公道を横断して林の中の道を通ると、やがて西舎神社に到着した。

ここまで1時間余。時刻は11時近い。

参拝風景 

 参拝客は全部で200人ほどになっただろうか。近くの駐車場で馬運車から降ろされた6頭が隊列に加わり、総勢25騎が一列で西舎神社の鳥居をくぐって行く。石段駆け上がりこそないものの、騎馬で参拝する光景は、それなりに見ごたえがある。

 1頭ずつ社殿前に進み、賽銭を投げて馬上から人馬の無病息災を祈願する。ハラハラしながら、人馬が石段を上って行く場面は確かに迫力があったが、ここは平らな場所に作られた神社なので、安全そのものだ。

 地元の名士たちが一人ずつ名前を呼ばれ次々に参拝する。最後は騎馬参拝が無事に終わったことを祝して拍手で締めくくった。

 石段駆け上がりこそが騎馬参拝の醍醐味だと一般的には考えられてきた。それがなくなったら、騎馬参拝の魅力が半減してしまったのも確かである。

 だが、おそらく今後も容易に石段駆け上がりが復活するとは考えられず、ならば、ここ西舎神社で腰を据えて実施する以外になさそうだ。

 それならば、どんなやり方で盛り上げられるかを考えれば良い。一つは「もっと参加する人馬を増やすこと」である。道中、最初の乗り代わりポイントで、20人弱の若者たちが一塊になって見学していた。BTCの「育成技術者養成研修課程」に在籍する生徒たちである。この人たちに参加を呼びかけられないだろうか、とふと思った。

生徒たち 

 また、アエルの乗馬厩舎横を通過した時には、放牧地に何頭もの乗馬が放牧されていた。トレッキングなどのために管理されている馬たちだが、指呼の距離にある西舎神社への騎馬参拝を「売り」にして参加者を募る営業活動も可能だろう。

 いずれにしても、まだまだ多くの参加が見込めるような気がする。より大規模な騎馬参拝に育てられそうな可能性を強く感じた。形を変えざるを得なくなった騎馬参拝だが、石段駆け上がりに拘泥しなければバリエーションはさらに大きく広がるような気がする。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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