5月30日、大井「東京ダービー」。羽田盃を鮮やかに差し切ったプリンシパルリバーの二冠なるかがまず焦点。同馬は昨暮れ統一G3・全日本2歳優駿を制しており、見方によってはすでに主役確定のムードもある。ただし、個人的見解としてはまだ混沌、戦国…の思いが拭えない。その羽田盃、確かにプリンシパルは素晴らしい切れ味と勝負根性をみせたが、現実に1~6着まで0.4秒差(2馬身)の中にひしめき、インをためらいなく突いた石崎隆騎手の好騎乗も大きくアシストした。流れひとつ、位置取りひとつの力関係。自分の好きな馬、推してきた馬をもう1度プッシュできる、そんなダービーと考えたい。
◎エスプリシーズ (今野)
○プリンシパルリバー (石崎隆)
▲ノムラリューオー (張田)
△ジェネスアリダー (桑島)
△ダイワミズリー (的場文)
△シャイニングボス (鷹見)
△キングセイバー (酒井)
エスプリシーズは羽田盃4着。スタートでモタつき、道悪にも戸惑ったか4コーナーいったん最後方まで下がっている。直線馬混みを縫うように伸びてコンマ3秒差ならやはり力負けとは思えない。川崎デビュー3連勝、豪快なレースぶり、フットワークから今季イチ推しと決めていた馬。当時パドックで鈍重にさえみえた馬体、気配も、春を迎えキリリと研ぎ澄まされてきた。父カコイーシーズ。代表産駒コンサートボーイ、ナミのクラシック活躍からも今度こそ真価発揮を期待する。
プリンシパルリバーは1ハロン延長と前走からの体調維持がカギだろう。陣営のコメント通り「心臓の強い」実戦派。一歩リードは間違いないが、他を圧するほどのエネルギー、パワーはまだ伝わってこない。羽田盃を重めで3着ノムラリューオーが当時の内容は一番よかった。レースぶりに器用さが出たのが心強く、父スキャンの距離適性からもチャンスはある。ジェネスアリダー、ダイワミズリーはともに切れ味勝負で脚の使いどころしだい。羽田盃で最速の上がりを計時したシャイニングボス、地元クラウンCを制し再び勢いがついたキングセイバーまで争覇圏とみる。
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22日、川崎「関東オークス」。JRAサクラヴィクトリアが1番人気に応えて勝った。ベルモントピュアが先導する平均ペースを道中中団よりやや後ろ。3コーナー手前で外から一気に脚を使った。直線中ほど、一歩早めに先頭に立ったラヴァリーフラッグを捕え、そのままひと息にゴールイン。「コーナリングが下手なので、行き脚がついたところでスパートした」と蛯名騎手。同馬はデビュー時ダート2連勝、その後クイーンC、フローラSと芝路線にも色気をみせたが、結局JRAオークスには賞金が足りず、こちらに目標を切り替えていた。陣営にとっては、ひとまず狙い通り、戦略通りの勝利だろう。
関東オークス(サラ3歳・定量・統一G3・2100m良)
▲(1)サクラヴィクトリア (54・蛯名) 2分18秒5
△(2)スターオブブリッジ (54・森下) 首
○(3)ラヴァリーフリッグ (54・石崎隆) 1
◎(4)グリーンヒルレッド (54・金子) 1
△(5)サルサクィーン (54・的場文) 3/4
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(6)マチカネテマリウタ (54・幸)
△(8)ミスイロンデル (54・福永)
△(14)ベルモントピュア (54・内田博)
単230円 馬複14790円 馬単19130円
3連複8060円 3連単86360円
ただしレースとすると正直凡戦かもしれない。前半の流れが生ぬるかったにもかかわらず、上がり40秒9を要している。例えば一昨年プリエミネンスは勝ちタイム2分17秒3。しかもヴィクトリアはゴールぎわ脚いろにおつりがなかった。今日は絶対能力で何とか押しきったという印象。パドックの馬体などもダート向きの力強さは感じられず、本質的に芝で一瞬の脚を生かすタイプだろう。統一G参戦は、あるいはここが最初で最後の懸念もある。
12番人気の伏兵スターオブブリッジが中団から鋭く伸び、勝ち馬に首差と迫った。「距離がもたないと思ったからじっくりタメて入着狙い」(森下騎手)という気楽さがあってこそだが、それでも瞬発力はいいものを秘めている。トロットサンダー産駒。ようやくそれらしい切れ者が現われた。
ラヴァリーフリッグは正攻法でヴィクトリアに競り負けた。距離がやや長いか、それとも勝ち込んできた反動がここで出たか。いずれにせよ能力通りでこの時計なら、4コーナー先頭、そのまま突き放して不思議なかった。牝馬の難しさというほかない。
直前◎に変更した(日刊競馬紙上)グリーンヒルレッドは、中団のインをソツなく乗り最後までしぶとく伸びた。直線前が狭くなったシーンもあり、できれば外に出したかったが、むろんそれは結果論でしかない。長距離向きらしいパワーを示し、今後に収穫のある4着だろう。サルサクィーンも内枠でやや窮屈な競馬だったが、まずは力通り。それにしても14-7-11の3連単は8万6千円の高配当だった。人気馬の一騎打ちに1頭人気薄がはさまっただけで、天と地の差。この馬券はやはりつくづく破壊力がある。