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川上悦夫氏の作? ゴールデンライダーの配合に意匠を凝らした跡

  • 2010年03月23日(火) 12時00分
 ウォーターサウンド(牡 栗東・鮫島一歩 父タイキシャトル、母トウカイパートナー)
 全姉パートナーシップは新馬戦(ダ1200m)を勝ち上がったものの、その後は1勝も挙げられなかった。配合は上々。「タイキシャトル×ブライアンズタイム」は、ドリームサンデー(09年中日新聞杯-GIII・2着)やサクラドルチェ(5戦3勝)などを出している。ブライアンズタイムが母系に入るとダート向きに出ることが多いのだが、この組み合わせは意外に芝向きの素軽い子を出す傾向がある。NijinskyとRed Godのニックス、3代母がタレンティドガール(87年エリザベス女王杯-GI)である点も評価できる。芝・ダート兼用のマイラー。

 エリモパンサー(牝 栗東・鮫島一歩 父Forest Wildcat、母Cozzy Flyer)
 半姉Rivers Prayer(父Devon Lane)は、プリンセスルーニーH(米G1・ダ6f)など3つの重賞を制し、16戦9勝の成績を残したスピード馬。本馬は姉と同じくStorm Cat系に属しているが、父を比べるとこちらのほうが格上なので楽しみが大きい。父Forest Wildcatはエーシンフォワード(10年阪急杯-GIII)などの父。芝・ダート兼用でマイル以下が合っている。どちらかといえば平坦コースに向いており、夏のローカルは稼ぎどころ。

 ゴールデンライダー(牡 美浦・小桧山悟 父スパイキュール、母タニノアトラス)
 母タニノアトラスは不出走馬で、近親にこれといった活躍馬はいない。これにスパイキュール(サンデーサイレンス産駒で通算10戦7勝、ダートは7戦全勝)を付けた配合は、一見、採り上げる価値がないように見えるかもしれない。しかし、よく見ると、My Dear Girl=Me Next 6×4、Blue Swords=Bluehaze 6×5という2種類の全きょうだいクロスが施されていることがわかる。前者は Crafty Prospector≒アングシャスフレンド3×2と言い換えてもいい。これらが偶然生じたものとは考えづらい。推測だが、馬主である川上悦夫氏の配合プランによって作られた馬ではないか? 川上氏は馬産界きっての配合の名手で、過去にマヤノトップガン、ナリタタイシン、ブルーコンコルドなどの名馬を生産している。こういう凝りに凝った配合はお手のもの。ダート中距離で出世を期待したい。

 ダノンブリリアント(牡 栗東・藤原英昭 父El Corredor、母ダイヤモンド)
 近親にダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの3きょうだいがいるほか、従兄弟に天皇賞・春を勝ったスズカマンボがいる。母ダイアモンドは「Rainbow Quest×Nijinsky×Key to the Mint」。やや鈍重さすら感じさせる本格派の中長距離配合だ。これにパワー型のマイラーEl Corredorを交配して誕生したのが本馬。ダート1600〜1800mあたりで良さをみせるタイプだろう。

 ワンナイトショー(牡 栗東・中竹和也 父ファルブラヴ、母ナナコフレスコ)
 半姉エイシンパンサー(父コロナドズクエスト)はファンタジーS(G3)3着、新潟2歳S(G3)4着という成績。父ファルブラヴはフジヤマラムセスやトランスワープなど、母系にリアルシャダイを持つ産駒が渋く走っている。本馬はこのパターン。重賞を勝つほどの大物感は感じられないが、芝中距離でそこそこやれそうな雰囲気がある。平坦コースならさらにいいだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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