季節を感じることが、どれほど日々の暮らしの潤いになっているか。自然がいっぱいの競馬場に、それに近いものを感じている。とにかく新緑が美しい。正に輝いている。
この春は、気温の上り下りが激しく、人にも作物にも厳しい天候だった。この異常気象、多くは地球温暖化が原因と言われている。
聞いたところでは、山形のさくらんぼ農家では、10年後を見越して北海道に苗木を植えたところもあるそうだ。
世界では、水不足を予想して水資源の争奪戦が始まり、海中の生物や地上の昆虫、植物には異常な現象が出てもいる。その原因と対策は大丈夫なのか。不安は募るばかり。
やがて、四季豊かな日本も、その輝きを失うのではないか。
日本人の生活の舞台が変化していくことは、そのまま人の心にも影響を及ぼし、それにともなう情緒に不安を来すのではと心配になっていく。
こうした不安や心配は、世の中の人々の生活行動に影を落とす。
一国の経済活動を決定づける要素は全部で七つあると、学生時代に教わったことがあった。その七番目に書かれてあったのが「情緒」で、ずっと心に残っていた。情緒が安定しているかどうか、これは生活行動と密接に結びついている。
もちろん、情緒を構成するのが気候だけでないことは当然だが、それが正常でないことの影響は大きい。
競馬場で季節感を覚えることは、気持ちの安定と無関係ではなく、それによる行動も活発になるはずだ。また、同じような意味で、競馬の中の情緒という部分に、もう少し気を使ったらどうだろうと思う。情緒あるものに人は和む。情感たっぷりなものに気持ちはそそられるではないか。新緑につつまれたときのあの気持ちの安らぎ。競馬の中にどう安らぎを見出していくか、大きな役割だと思っている。