スマートフォン版へ

情緒あるものに人は和む

  • 2010年06月09日(水) 00時00分
 季節を感じることが、どれほど日々の暮らしの潤いになっているか。自然がいっぱいの競馬場に、それに近いものを感じている。とにかく新緑が美しい。正に輝いている。

 この春は、気温の上り下りが激しく、人にも作物にも厳しい天候だった。この異常気象、多くは地球温暖化が原因と言われている。

 聞いたところでは、山形のさくらんぼ農家では、10年後を見越して北海道に苗木を植えたところもあるそうだ。

 世界では、水不足を予想して水資源の争奪戦が始まり、海中の生物や地上の昆虫、植物には異常な現象が出てもいる。その原因と対策は大丈夫なのか。不安は募るばかり。

 やがて、四季豊かな日本も、その輝きを失うのではないか。

 日本人の生活の舞台が変化していくことは、そのまま人の心にも影響を及ぼし、それにともなう情緒に不安を来すのではと心配になっていく。

 こうした不安や心配は、世の中の人々の生活行動に影を落とす。

 一国の経済活動を決定づける要素は全部で七つあると、学生時代に教わったことがあった。その七番目に書かれてあったのが「情緒」で、ずっと心に残っていた。情緒が安定しているかどうか、これは生活行動と密接に結びついている。

 もちろん、情緒を構成するのが気候だけでないことは当然だが、それが正常でないことの影響は大きい。

 競馬場で季節感を覚えることは、気持ちの安定と無関係ではなく、それによる行動も活発になるはずだ。また、同じような意味で、競馬の中の情緒という部分に、もう少し気を使ったらどうだろうと思う。情緒あるものに人は和む。情感たっぷりなものに気持ちはそそられるではないか。新緑につつまれたときのあの気持ちの安らぎ。競馬の中にどう安らぎを見出していくか、大きな役割だと思っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング